平成19年度各会計歳入歳出決算審査
(平成20年審査実施分)

監査委員は、第三回都議会定例会に知事から提出された平成19年度各会計歳入歳出決算について、地方自治法の規定により審査し、意見を付しました。

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審査の概要

知事から提出された一般会計及び特別会計の歳入歳出決算書、歳入歳出決算事項別明細書、実質収支に関する調書及び財産に関する調書について審査しました。

審査に当たっては、

(1)決算計数は、正確であるか
(2)予算執行は、適正かつ効率的になされているか
(3)資金は適正に管理され、効率的に運用されているか
(4)財産の取得、管理、処分は、適正に処理されているか

などに主眼を置き、決算書等及び証拠書類の照合等を行うとともに、関係部局から決算についての説明を聴取するなどの方法により審査を実施しました。

審査の結果

決算計数について

会計処理の一部について、是正・改善を要する事項が認められたほか、「財産に関する調書」の一部に建物(約3万300㎡)や出資による権利(2億500万余円)の過大登載など、次のとおり誤りが認められました。

公有財産
土地
過大に登載されているもの 1局 1件 1,204.81㎡
建物
過大に登載されているもの 3局 21件 30,326.25㎡
登載漏れとなっているもの 2局 8件 2,056.06㎡
山林
登載漏れとなっているもの
(分収林立木推定蓄積量)
1局 1件 1,7560..00㎡
地上権
過大に登載されているもの 1局 1件 33.57㎡
地役権
登載漏れになっているもの 1局 1件 33.57㎡
無体財産権
登載漏れとなっているもの 1局 2件
出資による権利
過大に登載されているもの 1局 5件 205,068,776円
物品
過大に登載されているもの 2局 2点
登載漏れとなっているもの 4局 11点
債権
計上漏れとなっているもの 1局 1件 4,856,995円

また、事業執行等に関して、全体意見3件及び局別意見1件を付しました。

主な審査結果

財政状況について (全体意見)

平成19年度一般会計決算の実質収支は、998億余円の黒字となり、また、一般会計と特別会計との合算では、実質収支は2,362億余円の黒字となっている。

しかし、平成20年度の都税収入は、法人二税が前年度を下回る可能性が高まっており、さらに法人事業税が平成21年度から一部国税化されることにより、都の歳入は減収局面を迎えると見込まれている。

こうした中にあっても、都は「10年後の東京」の実現に向けた取り組みを始めとする施策を、確実かつ継続的に実施し、都民の期待に応えていかなければならない。

そのためには、都民の税金を最大限効率的に活用するという認識の下、経済性、効率性及び有効性の観点から事業の成果などを不断に検証するとともに、揺るぎない財政基盤の構築に引き続き努めていくことが必要である。

意見書本文P.2

財産管理について (全体意見)

公有財産(土地・建物)等については、各局において、公有財産や物品等の登載に誤りが認められた。

公有財産等は都民からの負託を受けた貴重な財産であることから、適正な管理の必要性を改めて認識するとともに、平成18年度に導入された財務諸表を活用し、事務の適正な執行に努められたい。

意見書本文P.3

住宅建設資金あっせん制度に基づく損失補償について (局別意見)

都市整備局は、個人住宅の取得が困難な者に対し、資金の融資を金融機関にあっせんしてきた(昭和47年度から平成13年度まで)。

あっせんに当たっては、償還が一定期間以上滞り、回収が困難となった債権の残元金・延滞後利息等を都が損失補償することになっており、平成19年度までに446件約51億円を補償している。

損失補償実施後の債権については、「金融機関は、都から損失補償金の支払いを受けた後も誠意を持ってその補償に係る債権の保全及び回収に努めるものとする。」と定めているが、金融機関は残元金、利息の補てんを受けた後であるから、積極的に回収を行う経済的動機に欠けることとなる。

したがって、損失補償実施後の債権は、局が回収努力を行わなければ回収できない仕組みとなっている。

今後とも、多額の損失補償が見込まれることから、損失補償実施額を最小限にするとともに、損失補償実施後の債権を効率的に回収することが必要であるが、局は、損失補償の実施に当たり、金融機関から回収可能性に係る情報を取得しておらず、また、損失補償実施後においても回収の努力を行っていない。

局は、住宅建設資金あっせん制度に基づく損失補償に係る経費が必要最小限となるよう方策を検討されたい。

【都市整備局】 意見書本文P.70