住民監査請求結果(平成16年受付分)

件名 受付日 結果通知日
1 東京消防庁職員公舎の借上げ等を違法・不当として必要な措置を求める件 平成16年2月12日 平成16年4月9日
2 私立学校経常費補助金を減額せずに交付したこと等を違法・不当として補助金の返還を求める件 平成16年9月17日 平成16年11月15日

※平成16年より年度表記を暦年に改めたため、「1 東京消防庁職員公舎の借上げ等を違法・不当として必要な措置を求める件」につきましては、平成15年度受付分にも重複して掲載されています。

1 東京消防庁職員公舎の借上げ等を違法・不当として必要な措置を求める件

請求日 平成16年2月12日
結果通知日 平成16年4月9日

請求人の主張

請求人は、麻布消防署長の幹部待機宿舎として借り上げたマンションの賃貸借契約の締結並びに消防学校長及び消防科学研究所長の幹部待機宿舎にかかる使用料の徴収が違法・不当であると主張した。その理由は、

(1)消防学校長は緊急性の高い職務ではないから、消防学校長を赤坂宿舎に入居させる必要はなく、麻布消防署長を赤坂宿舎に入居させれば、本件マンションを借り上げる必要がない。

(2)消防学校長らの幹部待機宿舎の使用料について、減額するに当たっての基準で定められている本来的要素の他に付加的要素としての「入居による生活上の拘束性」及び「役職による住宅への入居強制」の各項目を、いずれも上限の10ポイントと算定し、100%減額しているが、これらの職は緊急性を有しないものであるから、100%減額する必要がない。

監査結果

理由なし(棄却)

(1) については、
従前の麻布消防署長の幹部待機宿舎は、同署の上階に合築で整備されていたが、庁舎の事務スペース不足のため、宿舎部分を防災教室等の目的に転用することに伴い、東京消防庁が暫定的措置として、同署の管轄区域内に所在する本件マンション(賃借料月額37万5,000円)を借り上げたことは、妥当であると認められる。
なお、本件マンションの入居条件は、地域の相場から見て致し方ないものの、通常の水準から見てかなり高いレベルになっている。
また、消防学校長の災害時における役割から見て、消防学校長を幹部待機宿舎の入居者として指定したこと及び赤坂宿舎に入居指定したことは、いずれも妥当であると認められる。

(2)については、
消防学校長らについて、東京消防庁が、災害時における役割や事実上入居が強制されていることなどから「役職による住宅への入居強制」を10ポイントと算定したことは妥当であると認められる。
また、「入居による生活上の拘束性」については、東京消防庁は今後算定に当たっての客観的な基準の整備が必要と考えられるが、消防学校長らの災害時における役割などから「入居による生活上の拘束性」が強いと判断し、10ポイントと算定していることは、東京消防庁の行政上の判断として理解でき、これまでの措置として是認できる。

以上のことから、請求人の主張には理由がない。

意見

直下型地震をはじめ様々な災害への対応など都民の安全を確保する上で、東京消防庁の幹部職員は極めて重要な役割を担っており、その待機宿舎の使用料などについて特段の配慮を講じることは必要不可欠である。
しかしながら一方で、厳しい社会経済状況の下で、東京の住宅事情や職員住宅としての性格などに照らして、都民の理解が得られるよう、今後入居条件の設定などに当たっては、これまで以上に適切に対処されたい。

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2 私立学校経常費補助金を減額せずに交付したこと等を違法・不当として補助金の返還を求める件

請求日 平成16年9月17日
結果通知日 平成16年11月15日

請求人の主張

学校法人江戸川学園(以下「本件法人」という。)が設置する江戸川女子高等学校及び江戸川女子中学校を対象に、都が交付した経常費補助金について、週刊誌の報道や入手した内部文書等により、次の事実が明らかになったとして、私立学校経常費補助金交付要綱(以下「本件要綱」という。)に基づき、補助金の減額又は交付決定の取消しを行い、本件法人にその返還をさせることを求めた。
(1)有価証券取引による約3億円の損失及び平成11年度末の有価証券残高約10億4,409万円が、都に支出された監査報告書等に記載されていないこと。
(2)株取引が所定の承認・りん議を経ていないことなど内部統制上の問題があること。

監査結果

理由なし(棄却)

有価証券取引による損失と有価証券残高が平成11年度監査報告書に記載されていないのは、公認会計士が、本件法人の計算書類(貸借対照表、収支計算書等)に評価損と有価証券残高が適正に表示されたと判断し、記載しなかったためであると認められる。

本件法人が有価証券取引によって多額の損失を被ったことは、学校法人における資産運用として適切であったとはいえないが、学校法人は有価証券取引を法令等で規制されているものではなく、都に対する報告も適切になされていることから、本件要綱に規定されている補助金の減額・取消し事由に当たるとは認められない。

本件法人において株取引を行う際に所定の承認やりん議がなされていなかったことなどは法人内部における管理組織上の問題であって、結果的に、職員の処分がなされるなど、内部統制に係る問題についても改革が進展していることが認められ、また、平成11年度監査報告書において適正意見が付されていることから、「業務執行が著しく適正を欠いている場合」に当たるとまでは認められない。

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