令和5年行政監査報告書

東京都監査委員は、令和6年第一回都議会定例会に、「令和5年行政監査報告書」を提出しました。

「令和5年行政監査報告書」全文へ(PDF1,639KB)

テーマ
公の施設の指定管理(利用者ニーズに応える施設の管理運営)

(1)監査の目的
〇都では、東京都福祉のまちづくり条例をはじめ、様々な条例、法律の制定、改正を受け、バリアフリー、ユニバーサルデザインのまちづくりを推進
〇都が保有する施設のうち、指定管理者により管理運営されている「公の施設」が、バリアフリー等の視点から利用者ニーズに応えているかについて検証

(2)監査の対象
 23施設(スポーツ関連施設、霊園及び公園、都営住宅、見本市・展示会施設)を選定し、7団体(指定管理者)及び5局に対して監査を実施

(3)監査の結果
 7団体及び4局に対し、36件の指摘、意見・要望を行った。

(4)主な指摘、意見・要望事例
○老朽化した施設等において、ユニバーサルデザインとなっていない状況が一部認められたため、局と指定管理者が連携してハード・ソフト両面からバリアフリー化に取り組むことを求めた。(報告書 p.28、46、47)
〇東京2020大会で整備した施設内アナウンスの多言語放送システムについて、大会後も積極的に活用することとされていたが、使用実績が確認できなかったため、外国人等の情報アクセシビリティを進める上で積極的に活用するよう求めた。(報告書 p.29)
〇災害時の一時滞在施設に指定された施設の運用計画において、要配慮者等の優先スペースの設定など、必要とされる事項が定められていなかったため、適切に整備するよう求めた。(報告書 p.33、69)
〇施設敷地内の遊具について、点検結果で判明した不具合箇所の修繕や使用不可とされた遊具の使用制限等の対応が行われていなかったため、速やかに措置するよう求めた。(報告書 p.52)

(5)監査結果を踏まえた所見
〇各施設においては、新型コロナウイルス感染症による影響を受けながらも、社会状況に対応しながら施設の管理運営を行い、東京2020大会に伴う整備によるアクセシビリティ向上、デジタル技術を活用した手続の導入や情報発信による利便性向上、指定管理者の自発的な整備による快適性向上など、それぞれ利用者サービスの向上に取り組んでいる状況が確認できた。
〇一方、指摘及び意見・要望のとおり、次のような状況が認められた。
・施設の利用に当たって提供される情報の誤りや不足等
・デジタル技術等を活用したサービスや手続に対する取組に一層の対応が望まれる状況
・ソフト・ハード面からのバリアフリーの対応が不十分
・利用者の特性に応じた適正・適切な対応ができていない
・利用者サービスの向上、安全管理に向けた取組に問題
・指定管理者制度等に基づく管理運営、その監督・指導の状況に問題
〇局及び指定管理者には、利用者ニーズを的確に捉えた施設の管理運営水準の維持を図るとともに、指摘及び意見・要望を踏まえ、日々の創意工夫、PDCAサイクルの運用による必要な見直し等を通じ、適時、適切に業務内容の検証、改善を行い、更なる利用者サービスの向上及び行政の効率化を図ることが求められる。
〇今回、監査対象となった施設だけでなく、他の施設においても、バリアフリー等の視点から、多様な利用者に対するサービス提供体制を整えることによって、全ての人が平等に施設を利用できる環境の更なる整備、改善が進められることを期待する。