東京都監査委員監査基準(令和元年11月25日決定)

 本基準は、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)に基づく監査基準であり、法、地方公営企業法(昭和27年法律第292号。以下「公企法」という。)、地方公共団体の財政の健全化に関する法律(平成19年法律第94号。以下「健全化法」という。)及び東京都監査委員条例(昭和39年東京都条例第123号)の規定により東京都監査委員(以下「監査委員」という。)が行うこととされている監査、検査、審査その他の行為の基本原則を定める。

第1章 総則

第1節 監査委員

(監査委員の責務)

第1条 監査委員は、法の規定に基づき設置された独任制の執行機関として、公正で
 効率的な行財政運営を確保するため、住民の負託を受けてその職務を遂行する。

(倫理規範)

第2条 監査委員は、高潔な人格を維持し、誠実に、かつ、本基準にのっとってその
 職務を遂行する。

2 監査委員は、独立的かつ客観的な立場で公正不偏の態度を保持し、正当な注意を
 払ってその職務を遂行する。

(専門性)

第3条 監査委員は、住民の視点に立ちつつ、地方公共団体の財務管理、事業の経営
 管理その他行政運営に関し優れた識見を有することが求められ、その職務を遂行す
 るため、自らの専門能力の向上と知識の蓄積を図り、その専門性を維持及び確保す
 るため研さんに努める。

2 監査委員は、監査委員の事務を補助する職員(以下「事務局職員」という。)に
 対し、監査委員の職務が本基準にのっとって遂行されるよう、地方公共団体の財務
 管理、事業の経営管理その他行政運営に関して、自らの専門能力の向上と知識の蓄
 積を図るよう研さんに努めさせる。

(質の管理)

第4条 監査委員は、その職務を遂行するに当たり求められる質を確保する。そのた
 めに、事務局職員に対して、適切に指揮及び監督を行う。

(指導的機能の発揮)

第5条 監査委員は、問題点の指摘のみならず、将来にわたる不正行為、不経済支出
 等の抑止の観点から指導的機能を発揮する。

(主査監査委員)

第6条 主査監査委員は、議員のうちから選任される監査委員(以下「議員選任監査
 委員」という。)の中から、監査委員の合議により定める。

2 主査監査委員は、監査委員の合議の取りまとめ、講評、議会報告その他代表監査
 委員の事務に属しない事務を処理する。

3 主査監査委員に事故があるとき、又は主査監査委員が欠けたときは、他の議員選
 任監査委員がその職務を代理する。

(代表監査委員)

第7条 代表監査委員は、識見を有する者のうちから選任される監査委員(以下「識
 見選任監査委員」という。)の中から、監査委員の合議により定める。

2 代表監査委員は、監査委員に関する庶務及び代表監査委員が行うこととされてい
 る訴訟に関する事務を処理する。

3 代表監査委員に事故があるとき、又は代表監査委員が欠けたときは、識見選任監
 査委員のうちあらかじめ代表監査委員が指定する監査委員がその職務を代理する。

(監査委員の事務分担)

第8条 監査委員は、その職務の遂行上必要があるときは、協議により担任区分を定
 めることができる。

第2節 監査等の基本事項

(監査等の目的)

第9条 監査等(監査、検査、審査その他の行為のうち、定例監査、工事監査、財政
 援助団体等監査、行政監査、決算審査、基金運用状況審査、例月出納検査、健全化
 判断比率等審査、内部統制評価報告書審査及び住民監査請求に基づく監査をいう。
 以下同じ。)は、都の行財政運営の適正性及び透明性の向上に寄与し、都政への信
 頼確保に資することを目的とする。

(監査等の種類)

第10条 監査等は、次の各号に定めるところによる。

 一 定例監査は、毎年一回以上、法第199条第1項、第2項、第4項及び第7項の
  規定に基づき実施する。
 二 工事監査は、原則として毎年、法第199条第1項及び第5項の規定に基づき実
  施する。
 三 財政援助団体等監査は、原則として毎年、法第199条第1項、第5項及び第7
  項に基づき実施する。
 四 行政監査は、原則として毎年、法第199条第2項及び必要に応じて同条第7項
  の規定に基づき実施する。
 五 決算審査は、法第233条第2項又は公企法第30条第2項の規定に基づき実施す
  る。
 六 基金運用状況審査は、法第241条第5項の規定に基づき実施する。
 七 例月出納検査は、毎月一回、法第235条の2第1項の規定に基づき実施する。
 八 健全化判断比率等審査は、健全化法第3条第1項又は第22条第1項の規定に基
  づき実施する。
 九 内部統制評価報告書審査は、法第150条第5項の規定に基づき実施する。
 十 住民監査請求に基づく監査は、法第242条の規定に基づき実施する。

2 法令の規定により監査委員が行うこととされている監査、検査、審査その他の行
 為(監査等を除く。)については、当該法令の規定に基づき、かつ、本基準の趣旨
 に鑑み、実施するものとする。

(合議)

第11条 次に掲げる事項は、監査委員の合議によるものとする。

 一 監査等の計画及び方針の決定に関すること。
 二 監査の結果に関する報告の決定に関すること。
 三 監査の結果に関する報告に添える意見の決定に関すること。
 四 監査の結果に関する報告に係る勧告の決定に関すること。
 五 決算審査に係る意見の決定に関すること。
 六 基金運用状況審査に係る意見の決定に関すること。
 七 健全化判断比率等審査に係る意見の決定に関すること。
 八 内部統制評価報告書審査に係る意見の決定に関すること。
 九 監査結果の措置に関すること。
 十 住民監査請求に基づく監査の実施及び結果に関すること。
 十一 全都道府県監査委員協議会連合会に関すること。
 十二 前各号のほか監査委員が必要と認める事項

(監査等の観点)

第12条 監査等は、合規性はもとより、経済性、効率性及び有効性の観点から実施す
 るものとする。

(監査等の手法)

第13条 監査等(内部統制評価報告書審査を除く。この項、次条第2項及び第25条
 第2項において同じ。)は、監査等の対象のリスク(組織目的の達成を阻害する要
 因をいう。以下同じ。)を識別し、リスクの内容及びリスクが生じる可能性とその
 影響を検討した上で、重点化を図り、効率的かつ効果的に実施するものとする。

2 監査等の手法は、毎年の監査等の結果及び措置状況を踏まえ、改善に努めるもの
 とする。

3 監査等の実施に当たっては、情報通信技術を積極的に活用するものとする。

(内部統制に依拠した監査等)

第14条 前条第1項のリスクの内容及びリスクが生じる可能性とその影響の検討に当
 たっては、内部統制の整備状況及び運用状況について情報を集め、判断するものと
 する。

2 監査委員は、監査等の種類に応じ、内部統制に依拠する程度を勘案し、適切に監
 査等を行う。

(監査調書等の作成及び保存)

第15条 監査委員は、監査計画、監査等の内容、判断の過程、証拠及び結果その他の
 監査委員が必要と認める事項を監査調書等として作成し、保存する。

(各種の監査等の調整)

第16条 監査委員は、都の事務及び事業を横断的・多角的に検証するため、各種の監
 査等が相互に有機的に連携して行われるよう調整し、監査等を行う。

(監査専門委員、外部監査人等との連携)

第17条 監査委員は、必要に応じて監査専門委員を選任し、必要な事項を調査させる
 ことができる。

2 監査委員は、監査等の実施に当たり、効率的かつ効果的に実施することができる
 よう、監査専門委員、外部監査人等との連携を図る。

第2章 監査等の実施

第1節 計画

(監査計画)

第18条 監査等は、毎年定める監査基本計画及び監査等の種類ごとに定める実施計画
 に基づいて実施するものとする。

2 監査基本計画は、社会経済状況及び都政の動向を踏まえ、リスクの内容及びリス
 クが生じる可能性とその影響、過去の監査等の結果及び措置状況、監査資源等を総
 合的に勘案し、監査等の基本方針等を定めるものとする。

3 実施計画は、本基準及び監査基本計画に基づき、各種の監査等の対象、実施期間
 等を定めるものとする。

(監査等の実施方針等)

第19条 定例監査は、次の各号に定めるところによる。

 一 都の事務及び事業の全般を対象とし、事務の執行及び経営に係る事業の管理
  について、監査を実施する。
 二 監査に必要な場合、財政援助団体等が行う業務についても対象とする。
 三 実地監査場所の選定基準は別に定める。

2 工事監査は、都が実施する工事等を対象として、計画、設計、積算、施工等の各
 段階において、主として技術面から当該工事等が適正に行われているかを監査す
 る。

3 財政援助団体等監査は、次の各号に定めるところによる。

 一 都が補助金等を交付している団体については、対象事業が補助等の目的に
  沿って適切に行われているかを監査する。
 二 都が出資又は出えんを行っている団体については、会計経理等の適正性や費
  用対効果など経営面に留意しつつ、当該団体の事業が出資又は出えんの目的に
  沿って適切に行われているかを監査する。
 三 公の施設の指定管理者については、施設の管理が、施設の設置目的及び指定
  管理者制度の趣旨に沿って適切に行われているかを監査する。
 四 財政援助団体等を所管する局等については、当該局等が当該団体に対し適切
  に指導及び監督をしているかを監査する。
 五 対象団体の選定基準は別に定める。

4 行政監査は、次の各号に定めるところによる。

 一 特定の事務又は事業を選定し、当該事務又は事業の執行について、監査を実
  施する。
 二 前号に定める特定の事務又は事業の選定に際しては、当該事務又は事業の継
  続性、都政における重要性等を考慮し、選定する。
 三 監査に必要な場合、財政援助団体等が行う業務についても対象とする。

5 決算審査は、決算その他関係書類が法令に適合し、かつ正確であるかを審査す
 る。

6 基金運用状況審査は、基金の運用状況を示す書類の計数が正確であり、基金の運
 用が確実かつ効率的に行われているかを審査する。

7 例月出納検査は、次の各号に定めるところによる。

 一 会計管理者等の現金の出納事務が正確に行われているかを検査する。
 二 都の財政収支の動態を主として計数面から把握し、決算審査等と有機的な連
  携を図る。

8 健全化判断比率等審査は、健全化判断比率及び資金不足比率並びにそれらの算定
 の基礎となる事項を記載した書類が法令に適合し、かつ正確であるかを審査する。

9 内部統制評価報告書審査は、知事が作成した内部統制評価報告書について、知事
 による評価が適切に実施され、内部統制の不備について重大な不備に当たるかどう
 かの判断が適切に行われているかを審査する。

10 住民監査請求に基づく監査は、次の各号に定めるところによる。

 一 都の執行機関等の違法・不当な財務会計上の行為又は怠る事実を是正し、都
  民全体の利益を確保する見地から、的確に実施する。
 二 本基準第11条第1号から第4号まで、第13条から第16条まで、第18条、第
  20条から第23条まで及び第25条の規定は、住民監査請求に基づく監査には適
  用しない。

第2節 監査等の実施

(事前準備)

第20条 監査委員は、必要な監査等の証拠を効率的かつ効果的に入手するため、監査
 計画及び次項の資料に基づき、実施すべき監査等の手続を選択し、実施する。

2 監査等の実施に当たっては、事前に監査等の対象に係る過去の監査等の結果及び
 措置状況を整理するとともに、監査等の対象となる事務又は事業の問題点の把握に
 努め、次の各号に掲げる事項について資料を作成するものとする。

 一 監査等の対象に係るリスク
 二 リスクを踏まえた事務局職員の編成、実地監査日程及び審議日程
 三 前2号のほか必要と認める事項

(実地監査)

第21条 監査委員が特に必要と認める場合を除き、事務局職員が実地監査を行い、監
 査等の結果案を作成する。

2 実地監査を行う事務局職員は、監査等の結果案を作成するに当たり、十分かつ適
 切な証拠を入手し、的確な見通しに立ち、広い視野から個々の事実を究明する。

(監査等の結果の決定及び講評)

第22条 事務局職員は、実地監査終了後、監査等の結果案を監査委員の審議に付す。

2 監査委員は、監査等の結果案を合議により確定させる。

3 監査委員は、監査等の対象から見解を聴取し、監査等の結果を合議により決定し
 た後に、講評を行う。ただし、是正又は改善が必要である事項(以下「指摘事項」
 という。)及び是正又は改善の検討を求める事項(以下「意見・要望事項」とい
 う。)が認められないときは、監査等の対象からの見解の聴取を省略し、前項によ
 る監査等の結果案の確定をもって監査等の結果の決定とし、講評を行わないことが
 できる。

4 監査委員は、指摘等の内容が軽微である場合は、前項本文の規定にかかわらず、
 合議により、講評を事務局職員に行わせることができる。この場合においては、第
 2項の規定による監査等の結果案の確定をもって監査等の結果の決定とする。

5 監査委員の審議及び講評の結果は、監査等の実施に支障が生じない範囲において
 公表する。

第3節 監査結果の措置

(措置状況の確認及び公表)

第23条 監査の結果に関する報告を提出した者及び監査の結果に関する報告に係る勧
 告をした者から、適時、監査結果の措置状況を徴する。

2 前項の措置状況の報告を受けたときは、是正改善はもとより、再発防止の観点か
 ら措置状況を確認する。

3 監査委員は、監査の結果に関する報告を提出した者及び監査の結果に関する報告
 に係る勧告をした者から措置の内容の通知を受けた場合は、当該措置の内容を公表
 する。

第3章 報告等

(監査等の結果に関する報告等の提出及び公表)

第24条 監査委員は、定例監査、工事監査、財政援助団体等監査及び行政監査の結果
 に関する報告を作成し、議会、知事及び関係のある委員会又は委員に提出するとと
 もに、公表する。

2 監査委員は、前項の監査の結果に関する報告については、当該報告に添えてその
 意見を提出することができるとともに、当該報告のうち特に措置を講ずる必要があ
 ると認める事項については勧告することができる。この場合において、監査委員
 は、当該意見及び勧告の内容を公表する。

3 監査委員は、例月出納検査の結果に関する報告を作成し、議会及び知事に提出す
 る。

4 監査委員は、決算審査、基金運用状況審査、健全化判断比率等審査及び内部統制
 評価報告書審査を終了したときは、意見を知事に提出する。

5 監査委員は、住民監査請求に基づく監査の結果について、請求人に通知するとと
 もに、公表する。当該請求に理由があると認めるときは、議会、知事その他の執行
 機関又は職員に対し期間を示して必要な措置を講ずべきことを勧告する。

6 前各項の提出及び公表は、監査委員全員の連名で行う。

(監査等の結果に関する報告等への記載事項)

第25条 監査等の結果に関する報告等には、原則として次に掲げる事項その他監査委
 員が必要と認める事項を記載するものとする。

 一 本基準に準拠している旨
 二 監査等の種類
 三 監査等の対象
 四 監査等の着眼点
 五 監査等の実施内容
 六 監査等の結果

2 監査委員は、指摘事項又は意見・要望事項が認められる場合は、その内容を監査
 等の結果に記載するとともに、必要に応じて、監査等の実施過程で明らかとなった
 当該事項の原因等を記載するよう努める。

3 監査委員は、内部統制評価報告書審査においては、知事による評価が評価手続に
 沿って適切に実施されていないと考えられる場合及び内部統制の不備について重大
 な不備に当たるかどうかの判断が適切に行われていないと考えられる場合は、その
 内容を記載する。

(情報発信)

第26条 監査委員は、その活動及び監査等の結果の内容について、庁内外に広く理解
 を得られるよう、情報発信に努める。

(委任)

第27条 本基準の実施に関し必要な事項は、監査事務局長が別に定める。

        

(注)本基準は、決定日(令和元年11月25日)以降に策定する計画に基づく監査から適用
 します。ただし、内部統制評価報告書審査及び監査の結果に関する報告に係る勧告その
 他改正地方自治法に関する部分(令和2年4月1日施行分)は、令和2年4月1日から
 施行します。