住民監査請求結果(平成12年度受付分)
件名 | 受付日 | 結果通知日 | |
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1 | 平成12年4月17日 | 平成12年6月14日 | |
2 | 平成12年5月1日 | 平成12年6月27日 | |
3 | 平成12年5月9日 | 平成12年7月10日 | |
4 | 平成12年6月30日 | 平成12年8月28日 | |
5 | 平成12年8月3日 | 平成12年9月29日 | |
6 | 平成12年8月11日 | 平成12年9月29日 | |
7 | 平成12年10月11日 | 平成12年12月7日 | |
8 | 平成12年11月2日 | 平成12年12月22日 | |
9 | 平成12年12月25日 | 平成13年2月22日 | |
10 | 平成12年12月27日 | 平成13年2月22日 | |
11 | 平成13年1月29日 | 平成13年3月29日 | |
12 | 平成13年1月30日 | 平成13年3月29日 | |
13 | 平成13年2月8日 | 平成13年4月5日 | |
14 | 平成13年2月15日 | 平成13年4月12日 | |
15 | 平成13年3月26日 | 平成13年5月24日 |
1 杉並区立小中学校に勤務する教員の休息時間の割り振りに関する件
請求日 平成12年4月17日
結果通知日 平成12年6月14日
請求人の主張
杉並区立小中学校教員の一日の正規の勤務時間は8時間だが、実態は、1日2回15分の休息時間を勤務の始めと終わりに置き、朝15分遅く出勤し、午後15分早く退勤して、勤務時間を30分短縮している。
このような勤務時間の短縮は勤務時間条例違反であり、違法な給与支出をしているので、休息時間相当額の損害補てん等を求める。
監査結果
理由なし(棄却)
正規の勤務時間の一部である休息時間は、正規の勤務時間4時間につき15分置くこととなっているが、勤務時間のどこに割り振るかは、学校長の裁量に委ねられている。
休息時間を勤務時間の始めと終わりに置いても、休息時間の自由な使用を保障したものとはいえず、学校長の裁量を逸脱しているとはいえない。
休息時間中に職員が出勤・退庁しているとしても、必要があれば教員を勤務に従事させるものであること、及び休息時間が職務専念義務を免除され、給与減額を要しない時間であることを勘案すれば、給与を減額しないことは違法とはいえない。
但し、「一定期間の勤務を続けた場合の軽い疲労を回復し、公務能率の増進を図る」という休息時間の設定趣旨を踏まえ、厳正な運用がなされるよう、杉並区教育委員会に適切な要請・助言を行うことを、教育庁に対し要望した。
2 清掃工場建設に際し談合行為により都が損害を被ったとする件
請求日 平成12年5月1日
結果通知日 平成12年6月27日
請求人の主張
東京都の新江東・墨田・港・中央地区清掃工場の建設工事に際し、日立造船、日本鋼管、タクマ、三菱重工、川崎重工の大手5社が、談合によりあらかじめ取り決めておいた業者に落札させる、という不法行為を行った。
見積・入札参加者に適正な競争が確保された場合には、落札率が約50%に低下する例があることに照らしても、上記4工場の落札率は、現実の落札率よりも少なくとも15%は低下したと見込まれる。
したがって、都は、上記4工場の税込み契約金額の15%相当額である293億1,540万円の損害賠償請求権を有しているので、都知事に対し、これを行使するよう勧告することを求める。
監査結果
理由なし(棄却)
談合行為のような独禁法違反行為により損害を被った場合には、当該違反行為の存在や違反者の故意・過失が明白でない限り、公正取引委員会の審決結果が出され、被害額の算定が行われるのを待って損害賠償請求を行うことが妥当である。
本件5社の談合事件は、公正取引委員会の審判手続中であり、現時点では、都が立証できるほど談合行為の存否等が明白にはなっていないと認められるので、損害賠償請求を行っていなくとも、違法・不当とはいえない。
ただし、公正取引委員会の審決確定により、都の損害額が明らかとなった場合には、速やかに損害賠償請求を行うよう、要望を付した。
3 杉並区立小中学校に勤務する事務職員等の休息時間割り振りに関する件
請求日 平成12年5月9日
結果通知日 平成12年7月10日
請求人の主張
杉並区立小中学校事務職員等の都費職員は、1日2回15分の休息時間を勤務の始めと終わりに置き、朝15分遅く出勤し、午後15分早く退勤して、1日の勤務時間を30分短縮している。
また、都庁職員2名は、昼の休憩時間を超過して休憩時間をとり、勤務時間を短縮した。
このような勤務時間の短縮は勤務時間条例違反であり、違法な給与支出をしているので、当該時間相当額の給与額の補てん等を求める。
監査結果
理由なし(棄却)
都費事務職員等の休息時間は、正規の勤務時間4時間につき15分置くこととなっているが、勤務時間のどこに割り振るかは、学校長の裁量に委ねられており、休息時間を勤務時間の始めと終わりに置いても、休息時間の自由な使用を保障したものとはいえず、学校長の裁量を逸脱しているとはいえない。
必要があれば、休息時間においても都費事務職員等を職務に従事させるものであり、休息時間が職務専念義務を免除され、給与減額を要しない時間であることを勘案すれば、給与を減額しないことは違法とはいえない。
但し、「一定期間の勤務を続けた場合の軽い疲労を回復し、公務能率の増進を図る」という休息時間の設定趣旨を踏まえ、厳正な運用がなされるよう、杉並区教育委員会に適切な要請・助言を行うことを、教育庁に対し要望した。
都庁職員の休憩時間超過については、当該時間について年次有給休暇が承認されており、都が損害を被ったとはいえない。
4 有明北地区埋立事業におけるしゅんせつ工事を違法・不当とする件
請求日 平成12年6月30日
結果通知日 平成12年8月28日
請求人の主張
有明北地区の埋立事業に関し、都は、運輸大臣の埋立認可及び免許権者の埋立免許を受ける前に、同地区におけるしゅんせつ工事の契約を結び、請負業者に前払金を支払っている。
このように、事業実施に当たって法令に基づく事業許可が義務づけられている事業について、免許を受ける前に工事契約を締結し、工事着工前に前払金を支払うのは違法・不当である。
都知事に対し、本件契約の取消しと前払金の回収その他必要な措置を講ずることを求める。
【有明北地区埋立事業の概要】
位置 | 江東区有明一丁目地先 | |
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事業者 | 東京都 | |
規模 | 埋立面積 | 約35ヘクタール |
防潮護岸の延長 | 約2,170m | |
(内訳 緩傾斜型:約380m、直立型:1,400m、汐入型:390m) | ||
工事期間 | 平成12年度から平成16年度まで | |
目的及び内容 | *うるおい豊かな都市型住宅やウォーターフロントにふさわしい店舗等の商業施設を配置するために、旧貯木場などの水域を埋め立てる。 | |
*水際線には、高潮に対し安全で、都民が水と緑に親しめる水辺空間を創出するため、親水性のある防潮護岸を整備する。 |
監査結果
理由なし(棄却)
公有水面埋立法に規定する埋立に関する工事着手とは、現実に埋立に関する工事そのものに着手することであり、着手に必要な準備行為をもって埋立工事に着手したことにはならない。
したがって、埋立免許取得前に行った本件しゅんせつ工事の契約締結は、公有水面埋立法に違反しない。
運輸大臣の認可及び免許権者の免許は、ともに平成12年8月17日付けで行われており、本件契約の締結により、都が損害を被ったという事実も認められない。
前払金の支払は、東京都契約事務規則及び本件契約に則って行われており、違法・不当はない。
ただし、本件契約締結を運輸大臣の認可申請前に行ったことは適切さを欠くので、今後は、公有水面埋立法に定める免許手続の趣旨を踏まえた契約事務に努めるよう、要望を付した。
【公有水面埋立法による埋立免許手続の概要】
<本件埋立事業における手続>
平成11年8月11日 埋立免許出願
平成12年2月22日 しゅんせつ工事その1工事請負契約締結
平成12年2月29日 しゅんせつ工事その2工事請負契約締結
平成12年3月10日 埋立免許認可申請
平成12年8月17日 埋立免許認可及び埋立免許
5 国立市立小中学校教職員の勤務時間内職員団体活動に関する件
請求日 平成12年8月3日
結果通知日 平成12年9月29日
請求人の主張
地方公務員には、職務に専念する義務が課されており、地方公務員法第55条の2第6項では、職員は、条例で定める場合を除き、給与を受けながら職員団体活動を行えないこととされている。
この特例規程として、東京都は「職員団体のための職員の行為の制限の特例に関する条例」(いわゆる「ながら条例」)を定めており、国立市の教職員が勤務時間内に職員団体活動を行う場合は、条例に基づく適正な手続を経なければならない。
ところが、国立市立小中学校の教職員は、職務専念義務免除の承認など所定の手続をとらずに、有給で勤務時間内に職員団体活動を行っている実態があるので、当該時間分の給与の返還を求める。
監査結果
理由あり(勧告)
国立市教育委員会からの事情聴取等により、請求人が主張するような適正な手続を経ない職員団体活動参加の実態が認められた。
勤務時間中に、給与を受けながら職員団体活動に従事することは、原則として禁止されており、所定の手続をとらずにこのような活動を行った事実があれば、当該時間分の給与は返納を要する。
これらの返納手続は未だ行われていないので、請求人の主張には理由があるものと認め、教育長に対し、実態が不明確な部分を解明し、損害額を確定させた上で、平成13年3月31日までに、損害補てんのための必要な措置を講ずるよう勧告した。
また、「ながら条例」の運用にあたっては、その手続が適正に行われるよう、指導の徹底を図るべきことを要望した。
6 勤務時間内に職員団体活動を行う職員に対する給与支給に関する件
請求日 平成12年8月11日
結果通知日 平成12年9月29日
請求人の主張
東京都は、昭和41年に制定した「職員団体のための職員の行為の制限の特例に関する条例」(いわゆる「ながら条例」)により、職員が勤務時間内に給与を受けながら行うことができる職員団体活動を定めている。
この「ながら条例」では、「適法な交渉」のほか、その「準備行為」についても、制限の特例として認めているが、自治省が同年6月21日に定めた「自治省準則」では、準備行為は特例の対象として掲げられていない。
準備行為の範囲は極めて広範囲にわたっており、このような準備行為を自治省準則に付加して給与減額免除対象とするのは、地方公務員法の目的を逸脱するものである。
そこで、「ながら条例」の制限特例規定から「その準備を行う場合」を削除し、各局の「準備行為」に係わる給与減額の内容・総額を公開することを求める。
監査結果
理由なし(棄却)
地方公共団体の制定する条例は、法令に違反してはならないとされているが、自治省が定める準則は法令そのものではなく、本件「ながら条例」の規定が自治省準則と異なるだけでは、違法・不当とはいえない。
本件「ながら条例」に定める準備行為は、適法な交渉に当然に付随し、適法な交渉と直接の関係をもつ必要な行為に限られるものであり、相当程度限定されたものといえるので、法が許容する範囲を逸脱しているとまではいえない。
7 都教弘の取り扱う生命保険料の給与からの控除を違法・不当とする件
請求日 平成12年10月11日
結果通知日 平成12年12月7日
請求人の主張
都は、都教職員が加入する生命保険料の給与からの控除事務を、(財)東京都教育公務員弘済会(都教弘)に委託しているが、実際には都自ら控除事務を行っており、都教弘は、当該控除事務に要する都職員の人件費相当の職務成果を対価なく違法に利用している。
都教弘が協栄生命等から事務手数料として受け取る約2億6,200万円は、給与控除を行う都が受領すべきものであり、都には、少なくとも事務手数料相当額の損害が生じている。
都教弘は、公益法人としての適格性はなく、協栄生命に特別の便宜を与えるなど公益性を欠如しているにもかかわらず、教育庁は控除事務を違法・不当に継続している。
以上につき監査を求め、都の損害補てんと、都教弘への控除事務委託の中止を命ずることを請求する。
【(財)東京都教育公務員弘済会の概要】
許可年月日 | 昭和39年12月21日 |
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事務所所在地 | 東京都千代田区九段南2丁目6番8号 |
目的 | *各種教育団体等への援助事業の実施、教育関係職員に有利な福利施設の設置・運営等により、東京都の教育振興をはかる。 |
実施事業 | *研究助成事業、福利厚生事業等の公益事業を実施している。 |
*全国組織である(財)日本教育公務員弘済会が、教職員のための共済事業として設定した生命保険(教弘保険等)の保険料の取扱いを、収益事業として行っている。 |
教職員は、(財)日本教育公務員弘済会が設定した生命保険または損害保険に加入することにより、(財)日本教育公務員弘済会の会員(教弘会員)として登録される。
(財)東京都教育公務員弘済会は、主に都内在勤の教弘会員を対象として、福利厚生事業を行っている。
監査結果
理由なし(棄却)
生命保険料の給与控除事務は、都の本来業務であり、都教弘は、都が控除した生命保険料を受領し、各保険会社に払い込む業務を行っているものである。
都が都教弘に上記の控除事務を委託しているという事実はなく、結局、請求人が問題としているのは、都教弘が取り扱う生命保険料について、都が対価なく給与控除事務を行っていることであると解される。
都教弘が都教職員のため生命保険料を取り扱うようになった経緯や、都教職員の福利厚生に果たす都教弘の役割等から、都教弘が取り扱う生命保険料について、給与控除を対価なく行っていることには、合理性があると認められる。
都教弘の公益性に関し、請求人が掲げる問題点は、公益法人として収益事業をいかに進めていくかという経営上の問題であり、都教弘が生命保険料を取り扱うことの適否とは別の問題である。
8 都立学校への国旗掲揚塔の設置を違法・不当とする件
請求日 平成12年11月2日
結果通知日 平成12年12月22日
請求人の主張
都教育長らは、平成11年12月に各都立学校における国旗掲揚塔の設置状況調査を行い、未設置校への設置とそのための予算増額申請を指示し、その結果、48校において、契約総額3,917万4,778円で国旗掲揚塔の設置工事が行われた。これらの工事は、次の理由により違法・不当なので、その損害補てんを求める。
国旗掲揚塔の設置は、生徒・教職員の「内心の自由」を圧迫し、地域住民を含めた「日の丸」を「見ない自由・見たくない自由」を侵害するものであり、憲法第19条「思想・良心の自由」に反する。
いくつかの都立学校で反対決議があげられたにもかかわらず、多くの教職員の意向を無視して掲揚塔設置が行われており、教育基本法第10条で禁ずる「教育の不当な支配」にあたる。
都は厳しい財政状況にあり、教育予算についても大幅に削られる中で、掲揚塔設置について予算配分したことは不当な支出行為である。
都立青山高校など5校については、既に掲揚塔が設置されており、新たに設置する必要がないにもかかわらず設置している。
監査結果
理由なし(棄却)
判例には、「国旗に対する一定の観念を告白するに等しい行為を強制する場合は格別として、国旗の掲揚された式典の事務運営の義務を課すだけでは思想・良心の自由を侵害することにはならない」、とした例があり、これに照らせば、国旗等の掲揚塔を物理的に設置することが、思想・良心の自由を侵害するとは到底いえない。
職員会議は、学校長を補助する機関であり、校務運営の最終決定をする権限は有しておらず、掲揚塔設置に関する反対決議がなされても学校長を拘束しない。
青山高校など5校への掲揚塔設置は、既存掲揚塔が入学式等の式典の動線からは見えにくいこと、または旧掲揚塔が老朽化していることを理由に実施されたものであり、合理的理由があったと認められる。
なお、掲揚塔設置の予算配分に関する請求人の主張は、都立学校施設の整備に関し何を優先するかという問題について、請求人の主観的見解をいうにすぎず、違法性・不当性の具体的かつ客観的な指摘に欠けるので、判断の対象としなかった。
9 職員が死亡した場合の給料支給方法を違法・不当とする件
請求日 平成12年12月25日
結果通知日 平成13年2月22日
請求人の主張
東京都の給与条例第8条第3項は、職員が月の途中に死亡した場合には、死亡日までの給料ではなく、その月の給料を全額支給することを定めている。
このように、職員が死亡し、勤務することが不可能になったにもかかわらず、月末まで給料を支給することは、地方公務員法第24条、ノーワークノーペイの原則等に違反し、社会通念を著しく逸脱する。
よって、平成12年11月17日に死亡した職員に対し、給与条例のとおり死亡時以降月末まで支給された給与を、財務会計職員個人の責任で都に補てんさせろ。
監査結果
理由なし(棄却)
職員に対する給料の支給方法は、条例で決められている以上、その条例が法令で定める給与の根本基準に違反していない限り、違法・不当となるものではない。
給与に関する根本基準は、地方公務員法第24条第1項及び第3項で定められているが、第1項は、給与は職務の質と責任の度合に応じて決定されるべきであるという原則を述べたものであり、職員死亡時の給料支給方法の違法性・不当性とは関連しない。
同条第3項は、職員の給与は国、他の地方公共団体、民間事業者の給与等と均衡を保つべきことを定めているが、国及び都以外の道府県、指定都市は、いずれも、職員死亡時にその月の給料を全額支給しており、都の支給方法と均衡が保たれている。
一方、民間事業者の従業員死亡時の給料支払方法については、これまで調査報告がなされておらず、また、民間事業は極めて多種多様であることから、これらを比較し、均衡を保つことは困難である。
したがって、職員死亡退職時の給与支給方法が、地方公務員法に定める給与の根本基準に違反しているとはいえない。
10 都が所有する葛飾区立石の土地の所有権登記を怠るとする件
請求日 平成12年12月27日
結果通知日 平成13年2月22日
請求人の主張
都は、昭和35年3月に葛飾区と共同で飾区立石405番1の土地を買い上げ、都はその5分の2の所有権を取得した。
にもかかわらず、本件土地は、事実に反して飾区の単独所有として登記されている。これはまさに都有財産の管理を怠る事実であり、都の所有権確保のため必要な措置を講じることを求める。
監査結果
理由なし(棄却)
本件土地は、本件請求提出時には、飾区の単独所有として登記されていたが、その後、平成13年1月29日付で、都の持分を1千万分の301万5,805とする登記がなされたことを確認した。
また、本件土地の取得の経緯、その後の面積の増減等を確認した結果、現在の都の持分は、登記簿上に記載された持分割合と一致するものであると認められた。
ただし、都の持分登記の手続きが行われるまでは、本件土地について財産の管理を怠る事実があったものと認め、財務局に対し、今後、不動産の取得等に当たっては、不動産登記法等に基づき速やかに登記を行うよう要望した。
11 食肉市場職員のヤミ遅参・早退を違法とする件
請求日 平成13年1月29日
結果通知日 平成13年3月29日
請求人の主張
東京都中央卸売市場食肉市場では、職員の一部が長年にわたり勤務時間終了前に退庁している。また、平成13年1月から同年3月までの衛生確保工事期間中において、勤務開始時間後に出勤している。
にもかかわらず、当該勤務をしなかった時間に対する給与を減額せずに支給したことは、公金の違法・不当な支出に当たるので当該勤務をしなかった時間に対する給与相当額の補てん等必要な措置を講ずることを求める。
監査結果
一部理由あり(勧告)、一部理由なし(棄却)
ヤミ早退が行われていたにもかかわらず、減額せずに給与を支給したことを違法・不当として、当該時間相当分の給与額の補てんを求める請求については、事実が確認できなかったことから、給与減額を行うことは困難と判断し、理由がないとした。
ヤミ遅参については、平成13年1月の16日間についてその事実がありながら給与減額を行っていなかったことを認定し、知事に対し、所定の手続きをとらずに正規の勤務時間の開始を遅らせ勤務時間を短縮したことにより都が被った損害額を十分精査のうえ、これを確定し、そのために必要な措置を講じることを勧告した。
また、中央卸売市場長に対し、職員の管理監督及び庁舎管理上、適正を欠く点が見受けられたので、それぞれについて規定に基づき適正に行うよう意見を付した。
12 清瀬市に使用許可した都営住宅施設の管理を怠るとする件
請求日 平成13年1月30日
結果通知日 平成13年3月29日
請求人の主張
都は、清瀬市竹丘一丁目に所在する都営住宅施設の一部を、清瀬市に対し、使用許可書の書面に使用目的を「学童クラブ」として表示して使用を許可しているが、清瀬市はその一部を地域集会施設として竹丘中央自治会に使用貸借しており、目的外に使用されている。
当該物件の目的外使用につき監査を求め、然るべく必要な措置を講ずることを求める。
監査結果
理由あり(勧告)
清瀬市からの事情聴取等により、請求人が主張するような使用許可条件に反する使用実態が認められた。
清瀬市は、都が清瀬市に「学童クラブ」として使用許可した都営住宅施設の一部を竹丘中央自治会に対し無償で使用貸借し、また、他の一部を障害者・児のための通所施設として無償で使用許可しており、都の使用許可条件に反している。これらのことから請求人の主張には理由がある。
知事に対し、平成13年9月30日までに、(1)本件使用許可の見直しを行うこと、(2)都が得られたであろう使用料相当額が損害に当たるので、これを確定させるとともに、その補てんのために必要な措置を講ずることを勧告した。
また、住宅局長に対し、行政財産の使用許可に当たっては、申請内容の審査及び使用許可後の実態把握を的確に行うよう、意見を付した。
13 都営住宅の建替えに伴う大けやきの伐採を違法・不当とする件
請求日 平成13年2月8日
結果通知日 平成13年4月5日
請求人の主張
新宿区に所在する都営住宅の建替えに伴い、推定樹齢200年を超える大けやきを伐採したことは、都及び新宿区の自然保護等に関する条例に反することから、大けやきの伐採及びその工事の設計委託費用の返還等を求める。
監査結果
理由なし(棄却)
請求人が、違法・不当の根拠として特定している都の条例の規定は、具体的な義務を課しているものではない。また、同条例の他の規定を確認したところ、特定の樹木を保護し、保存すべき規定はない。
当該大けやきは、区の条例に基づく保護樹木等の指定はされていなかった。また、同条例には特定のけやきの木の伐採を禁止する規定はない。
以上のことから、大けやきの伐採は両条例の規定に違反していないと判断した。
なお、住宅局長に対し、大けやきの伐採が違法・不当ではないとしても、樹齢の長い巨樹は都市における貴重なものであり、今後ともその取扱いについて特段の配慮が望まれるとの意見を付した。
14 公用車を使用した都議への旅費支給を違法・不当とする件
請求日 平成13年2月15日
結果通知日 平成13年4月12日
請求人の主張
都議会議員が招集に応じて会議等に出席した際に、公用車を使用したにもかかわらず、旅費を支給したことは違法・不当であり、当該旅費に法定利子を付した金額の返還を求める。
監査結果
理由なし(棄却)
議員の費用弁償に関する条例において、都議会議員が招集に応じて会議等に出席したとき、一日につき定額を支給することとされており、減額の規定はない。
また、判例に照らせば、同条例で旅費を定額としその定額を減額する規定を設けずに支給しても違法とはいえないことから、旅費の支給は違法・不当ではないとした。
なお、旅費の支給手続きについて、その取扱いに適切さを欠く点が見受けられたので、適切な取扱いとなるよう必要な見直しをするよう、議会局長に対し、意見を付した。
15 多摩市デイサービスセンターへの補助金交付取消を求める件
請求日 平成13年3月26日
結果通知日 平成13年5月24日
請求人の主張
都の多摩市に対する介護予防拠点整備事業補助金の交付決定は、以下の理由により違法・不当であり、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律に基づき、交付決定の取消を求める。
- (仮称)桜ヶ丘生きがいデイサービスセンターの平成12年度内の完成は不可能であったこと。
- 都が、多摩市の事故報告を3か月以上も遅れて受理したこと。
- 多摩市が違法な手続により繰越明許費の補正予算を組んだこと。
監査結果
理由なし(棄却)
請求人が違法・不当の根拠としている補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律は、国庫補助金の交付決定等に関する国の権限を定めたものである。
本件補助金の交付決定は、以下の理由により都の規則及び要綱に違反していない。
- 本件整備事業を年度内に達成する見通しがあるなどとして交付決定を行ったという、監査対象局の判断は妥当であったと認められること。
- 本件事故報告は、国においても受理され、都の対応に支障を生じたとは認められないこと。
- 本件整備事業に係る多摩市の予算は、平成13年度へ適法に繰り越されていること。