住民監査請求結果(平成13年度受付分)

1 自動車税等照合事務委託を違法・不当とし必要な措置を求める件

請求日 平成13年8月30日
結果通知日 平成13年10月24日

請求人の主張

都が委託している自動車税納税済等照合事務は、道路運送車両法第97条の2に基づく国の事務であるから、都が経費を支出したことは違法・不当として、その返還等を求めた。

監査結果

理由なし(棄却)

国には、車検時に「自動車税の滞納がないことを証するに足る書面」の呈示の有無を確認する義務があるが、延滞金については確認義務がないこと

昭和57年の地方税法改正により、金融機関等において自動車税本税だけの領収書が発行されることとなり、延滞金の徴収が行われていない領収書によっても車検が行われることとなったこと

延滞金の徴収を確保するための事務は、地方税法に基づく都の事務であり、都が自動車税納税済等照合事務を委託により行っているのは妥当な措置であること

以上のことから、地方税法及び道路運送車両法相互間に、車検時における延滞金徴収確保の取扱いについて、十分な措置が講じられていない状況にあっては、自動車税納税済等照合事務が道路運送車両法第97条の2の規定に基づく国の事務であるとは言いきれないことから、都が経費を支出したことは違法・不当ではないと判断した。

しかし、道路運送車両法第97条の2に基づく国の事務との関係が不明確な事務処理となっていることから、主税局長に対し、自動車税にかかる延滞金の徴収事務について見直しを図るよう要望した。

監査結果本文を見る(PDF 22KB)

2 旧1000days劇場に関する定期建物賃貸借契約を違法・不当とし必要な措置を求める件

請求日 平成13年9月3日
結果通知日 平成13年11月1日

請求人の主張

旧1000days劇場に関する定期建物賃貸借契約(以下「本件契約」という。)の締結について
 ・本件契約にかかる公募の期間が短いこと及び設計図書等を閲覧としたこと
 ・本件公募の借受予定者の公表時の賃料より軽減した額で本件契約を締結したこと
 ・賃料・敷金の支払時期を、本件公募の要項で示された条件と異なる内容で本件契約が締結されたこと
 ・消費税額等を契約期間の10年間固定して本件契約を締結したこと  を違法・不当として、本件契約を解除し、定期借地権での再公募等を求めた。

監査結果

理由なし(棄却)

本件契約にかかる公募において、公募の期間の設定が応募上無理な設定と認められず、また、設計図書等を貸与せず閲覧としたことには合理的理由があり、このことにより、応募が困難となったとは認められないこと

借受予定者の公表時の資料における賃料は、本件契約の賃料と消費税額等の合計金額と同額が表記されている。

本件契約にかかる公募の借受予定者選定委員会において、5者の提案を比較したところ、賃料で年額2億5千万円以上の差があり、賃料の支払時期を平成14年1月以降とし、敷金の支払時期を平成13年4月30日までとしても、住友不動産を選定することが都にとって有利と判断したことは合理的理由があり、東京都公有財産規則にも反するものではないこと

消費税率等の変更に対応した契約の変更が可能であること

以上のことから、本件契約の締結は、違法・不当ではないと判断した。

なお、請求人は個別外部監査を求めたが、監査委員は、本件請求が一般的な契約に関わることとして、個別外部監査を実施することが相当であるとは認めなかった。

監査結果本文を見る(PDF 54KB)

3 有楽町旧都庁舎跡地の土地賃貸借契約の履行等に違法・不当な行為があるとし必要な措置を求める件

請求日 平成13年9月3日
結果通知日 平成13年11月1日

請求人の主張

有楽町旧都庁舎跡地の土地賃貸借契約の履行及び旧1000days劇場の贈与契約の締結において、
 ・本件賃貸借契約の契約条項に反し、無断で転貸されていること
 ・本件贈与契約の締結において、財源確保策の有効性を検討せず寄付受領を認めたこと
 ・本件賃貸借契約で原状回復を条件としていたにもかかわらず、寄付受領し、本件贈与契約を締結したこと
 などの違法・不当な行為があるとして、無断転貸の違約金の請求等を求めた。

監査結果

理由なし(棄却)

本件賃貸借契約は、阪急電鉄に仮設劇場施設用地として本件都有地を貸付けしたものであり、阪急電鉄と阪急東宝リースが仮設劇場のリース契約を締結したことにより本件都有地は転貸されたと認められるが、
・本件物件リース契約において、阪急電鉄が仮設劇場の使用権を有し、解体撤去することとされており、阪急電鉄が自ら使用する仮設劇場と認められ、阪急電鉄の申し出に対し、都は転貸を承諾しうるものと認められること
・都に財務会計上の損害が発生したとは認められないこと

本件贈与契約を締結するに当たり、本件都有地を貸し付ける場合と本件物件を寄付受領し貸し付ける場合とを比較検討し、その上で、本件物件を貸し付ける方法が財産収入上有利であるとの判断は、合理的理由が認められること

本件賃貸借契約において原状回復を条件としていたにもかかわらず、本件物件を寄付受領したことについては、本件物件を貸し付ける方法が財産収入上有利であるとの判断は、上記で認めたとおりであり、また、都の財務会計上の損害が認められないこと

以上のことから、本件賃貸借契約の履行及び本件贈与契約の締結は、違法・不当ではないと判断した。

ただし、有楽町旧都庁舎跡地の土地賃貸借契約の履行に関し、一部文書によらないなど、手続において適切を欠く点が見受けられたので、財務局に対し、今後契約の履行にかかる手続について適切に行うよう意見を付した。

なお、請求人は個別外部監査を求めたが、監査委員は、本件請求が一般的な契約に関わることとして、個別外部監査を実施することが相当であるとは認めなかった。

監査結果本文を見る(PDF 46KB)

4 世田谷区赤堤所在の土地ほかにかかる固定資産税の賦課を怠っているとし徴税等の必要な措置を求める件

請求日 平成13年11月1日
結果通知日 平成13年12月25日

請求人の主張

請求人は、世田谷区赤堤四丁目所在の土地及び隣接する土地の建築物3棟について固定資産税を賦課徴収していないことを違法・不当として、賦課徴収を怠っている過去5年分の固定資産税相当額の補てん等を求めた。

監査結果

理由なし(棄却)

本件建築物のうち1棟については、平成13年に取得・設置された償却資産であり、平成14年度から固定資産税を賦課徴収すべきものであること

本件土地及び本件建築物のうち2棟については、固定資産税等の賦課徴収を怠るものと言わざるを得ないが、既に賦課決定手続としての電算入力を 行っており、平成14年2月の随時課税において納税通知書が発行されることとなっていることから、賦課徴収を怠る事実は是正されていると認められ、都の損害の発生も認められないこと

以上のことから、請求人の主張には、理由がないと判断した。

固定資産税及び都市計画税の賦課徴収にかかる事務処理に適切を欠くところが見受けられたので、今後、課税客体の捕捉もれのないよう適切に行うことを要望した。

監査結果本文を見る(PDF 31KB)

5 港湾局が所管する大田区東海二丁目に所在する都有地の管理を怠るなどとし必要な措置を求める件

請求日 平成13年11月20日
結果通知日 平成14年1月17日

請求人の主張

請求人は、次のことを違法・不当とし、その是正及び損害の補てんを求めた。

本件用地の一部が、本件貸付契約がないにもかかわらず、吉田組・若葉建設・若築建設・大旺建設に使用されていたこと。

東亜建設工業が本件貸付契約に違反し、本件用地上に存する同社の建物の一部を他社に有償で貸し付けていたこと。

監査結果

理由あり(勧告)

本件貸付契約がないまま、本件用地の一部が吉田組・若築建設に使用されていたことは、財産の管理を怠る事実に当たり、都に損害を与えていたものと認める。

本件貸付契約がないまま、本件用地の一部が若葉建設・大旺建設に使用されていたとする請求並びに東亜建設工業が本件貸付契約の用途指定に違反し、同社の建物の一部を他社に有償で貸し付けていたとする請求には理由がないものと認める。

以上のように、請求人の主張のうち、吉田組・若築建設が使用している本件用地については理由があるものと認め、知事に対し、平成14年7月31日までに、次の措置を講じることを勧告する。

吉田組・若築建設が使用している本件用地について、財産管理を怠っていた期間における土地貸付料相当額が都の損害額に当たるので、これを十分精査の上確定し、その補てんのために必要な措置を講じること。

上記金額に対する損害の発生した日から支払日までの年5分の割合による利子相当額

知事が講じた措置(PDF 12KB)
監査結果本文を見る(PDF 40KB)

6 申し合わせによる応招に係る公用車使用等通知書を提出せずに応招旅費を受領していることを不当利得とし必要な措置を求める件

請求日 平成13年12月11日
結果通知日 平成14年1月31日

請求人の主張

請求人は、専用車による送迎がある都議会議員が、会議等の招集に応じたとき(応招)に、都議会議員の申し合わせに反し、「公用車等使用通知」を提出せずに費用弁償(応招旅費)を受領したことは、不当利得を得たことになり、その支出が違法・不当支出となるとして、返還するなど必要な措置を講ずるよう求めた。

監査結果

理由なし(棄却)

監査委員は、平成13年4月12日付けの住民監査請求監査結果における監査委員の次の判断を変更する事情はないことから、請求人の主張には、理由がないものと判断した。

議会活動の中で、議員が応招に際して公用車を使用した場合に、応招旅費の請求を控えることは、議会自らの判断といえるが、その申し合わせは、応招旅費を減額する根拠とはなりえないこと。

議会局において、議員が応招に際して公用車を往復使用した場合、「公用車等使用通知」の提出の有無のみをもって、応招旅費の支出を決定するという取扱いをしていることは、適切を欠いているといわざるをえないこと。

監査結果本文を見る(PDF 20KB)

7 公費で新聞を購入し都議会議員に提供していることを違法・不当とし新聞代金の返還等を求める件

請求日 平成14年1月18日
結果通知日 平成14年3月19日

請求人の主張

請求人は、議会局が議員に提供している新聞の購入にかかる経費の支出は公費で賄う性格のものではなく、ただのサービスであるなどとして違法・不当と主張し、その返還等を求めた。

監査結果

理由なし(棄却)

監査委員は、以下のことから、議会局が公費で新聞を購入し議員に提供していることを違法・不当とする請求人の主張には理由がないと判断した。

議会及び議員の活動を補佐する役割を担っている議会局が、議会等を補佐する責務の一つとして、多方面にわたる幅広い情報を収集し提供するため、公費で新聞を購入し議員に提供することは妥当であると認められること。

新聞は、情報の収集・分析に有効な情報源であり、議員の議員活動を補佐する立場から新聞を購入して議員に提供しているとする議会局の説明は合理的といえること。

議会局が都政に関する切り抜きを行い、また、議会図書館が新聞を収集・保管しており、議員がいつでもこれを閲読できるとしても、新聞を購入して議員に情報提供することの意義や必要性は失われないものと認められ、また、会派が政務調査費で新聞を購入することの決定は、会派において自主的に行われるものであること。

議会局が、都の財政事情や議会等の事情を考慮して決定した新聞の購入部数は裁量の範囲であり、不当であるとは認められないこと。

監査結果本文を見る(PDF 23KB)

8 都営住宅に自治会が設置している駐車場は行政財産の無断使用であり財産管理を怠るとして必要な措置を求める件

請求日 平成14年1月30日
結果通知日 平成14年3月28日

請求人の主張

請求人は、東大和桜が丘三丁目アパート16号棟及び17号棟(以下「桜が丘団地」という。)及び多摩ニュータウン和田団地のうち多摩市和田三丁目4番地及び5番地(以下「和田団地」という。)の敷地の一部が、当該団地の自治会により駐車場として無断で使用されていることは、財産の管理を怠るものであるとして、その損害の補てん等を求めた。

監査結果

理由なし(棄却)

監査委員は、以下のことから、請求人の主張には理由がないものと判断した。

桜が丘団地においては、当該団地の自治会により無断で駐車場として使用され、財産の管理を怠る事実があったものといわざるを得ないが、住民監査請求の対象とはならない公物管理上の問題であること。

和田団地においては、団地内空地の一部を居住者の駐車スペースとして利用することを住宅局が認めていること。

しかしながら、住民監査請求上は、違法・不当とはいえないものの、桜が丘団地の住宅管理上、適切を欠くところが見受けられたので、都営住宅の管理に当たっては、公営住宅法及び東京都営住宅条例に則り適切に行うよう意見を付した。

また、和田団地に駐車場を速やかに設置するよう努めることを要望した。

監査結果本文を見る(PDF 30KB)