住民監査請求結果(平成15年度受付分)

件名 受付日 結果通知日
1 都立病院等において発注された寝具類の賃貸業務等について談合行為により損害を被ったにもかかわらず都が損害賠償請求権の行使を怠っていることを違法・不当として必要な措置を求める件 平成15年6月10日 平成15年8月6日
2 東京都中小企業新製品・新技術開発補助金の交付が事業の趣旨に反するものであるとして必要な措置を求める件 平成15年7月28日 平成15年9月25日
3 江東区に所在する港湾局所管の都有地が不法占用されていることは財産の管理を怠るとして必要な措置を求める件 平成15年8月12日 平成15年10月3日
4 江東区に所在する建設局所管の都有地が不法占用されていることは財産の管理を怠るとして必要な措置を求める件 平成15年8月12日 平成15年10月3日
5 江東区に所在する財務局所管の都有地の払下げが違法・不当であるなどとして必要な措置を求める件 平成15年8月12日 平成15年10月3日
6 江東区に所在する財務局及び建設局所管の都有地が不法占用されていることは財産の管理を怠るとして必要な措置を求める件 平成15年8月28日 平成15年10月3日
7 学校法人所有の土地等に建設されている家屋等が非課税用途に供されていないにもかかわらず固定資産税等を賦課・徴収していないことを違法・不当として必要な措置を求める件 平成15年8月12日 平成15年10月3日
8 都有地の払下げを受けた者に対する不動産取得税等の賦課・徴収を違法・不当に怠るとして必要な措置を求める件 平成15年8月12日 平成15年10月3日
9 都立養護学校職員が勤務時間中に職場離脱したにもかかわらず給与を減額せず支給したことを違法・不当としてその返還等を求める件 平成15年11月18日 平成16年1月16日
10 東京消防庁職員公舎の借上げ等を違法・不当として必要な措置を求める件 平成16年2月12日 平成16年4月9日

1 都立病院等において発注された寝具類の賃貸業務等について談合行為により損害を被ったにもかかわらず都が損害賠償請求権の行使を怠っていることを違法・不当として必要な措置を求める件

請求日 平成15年6月10日
結果通知日 平成15年8月6日

請求人の主張

公取委が勧告審決の対象とした平成7年12月中旬ころ以降平成12年10月18日までの間の都立病院等にかかる寝具類の賃貸業務又は洗濯業務の契約(以下「本件賃貸業務等契約」という。)について、都は損害を被ったにもかかわらず、公取委の課徴金納付命令が公表されてから約1年経過後の今日に至るまで損害賠償請求権を行使していないことは違法・不当であるとして、損害賠償請求権の行使を求めた。

監査結果

理由あり(勧告)

本件課徴金納付命令対象期間内(平成9年10月19日から平成12年10月18日まで)の、課徴金納付命令対象物件一覧に記載された個別契約については、談合行為がなければ成立したであろう想定落札価格と実際の契約金額との差額相当額の損害が発生しているものと認められ、監査日現在、監査対象局は損害賠償請求権を行使していないことから、請求人の主張には、理由があるものと認める。

平成7年度及び平成8年度の本件賃貸業務等契約については、平成9年度以降と同一の事業者と契約したものがあることが認められたが、この間における個別の契約状況について、文書による確認が不可能であったため、具体的な事実を特定し、談合行為の存在を認めるまでには至らなかった。

課徴金納付命令対象物件一覧において、契約年月日が年度当初の平成9年4月1日と記載されている契約については、本件課徴金納付命令対象期間外であるが、個別契約についての談合行為が認定されたものと認められ、監査日現在、監査対象局は損害賠償請求権を行使していないことから、請求人の主張には、理由があるものと認める。

勧告

平成9年度から平成12年度までの本件賃貸業務等契約について損害額を確定し、平成15年10月31日までに損害賠償請求権を行使すること。

意見

平成7年12月中旬ころから平成9年3月31日までの本件賃貸業務等契約に関し、談合行為があったか否かについて、今後、可能な限り調査を行い、適切な措置を講じられたい。
なお、入札談合の徹底排除・防止に向け、独禁法違反行為があった場合の指名停止期間の延長などについて、改めて検討されたい。

知事が講じた措置(PDF 22KB)
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2 東京都中小企業新製品・新技術開発補助金の交付が事業の趣旨に反するものであるとして必要な措置を求める件

請求日 平成15年7月28日
結果通知日 平成15年9月25日

請求人の主張

財団法人東京都中小企業振興公社(以下「公社」という。)は、本件助成事業者の虚偽 の申請に基づいて平成13年度東京都中小企業新製品・新技術開発助成金(以下「本件助成金」という。)を交付した。したがって、都の公社に対する平成13年度東京都中小企業新製品・新技術開発補助金(以下「本件補助金」という。)の交付も違法・不当なものであるとして、違約加算金相当分の納付及び本件補助金の返還を求めた。

監査結果

理由なし(棄却、意見あり)

請求人が主張する虚偽申請の事実があったことは確認できないこと、及び本件補助金のうち本件助成金相当額はすでに都に返還されており、損害はないことから、請求人の主張には理由がないものと認める。

意見

公社は、平成14年度共同開発助成事業について、本件助成事業者に不正の疑いが生じたとして助成金の交付決定を取り消し、警察当局に告訴を行っている。このような状況を踏まえて、局は、都の補助金にかかる公社の助成事業が適正に行われるよう公社に対する指導を徹底するとともに、補助金交付にかかる審査機能の強化及び手続の見直しを図られたい。

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3 江東区に所在する港湾局所管の都有地が不法占有されていることは財産の管理を怠るとして必要な措置を求める件

請求日 平成15年8月12日
結果通知日 平成15年10月3日

請求人の主張

港湾局は、学校法人東京朝鮮学園(以下「本件法人」という。)が港湾局所管の都有地を不法占有しているのに、違法・不当に不法占有状態を見過ごし、適正な財産管理を怠っているとして、不法占有の解消及び損害の補てんを求めた。

監査結果

理由あり(勧告)

本件法人は、港湾局所管の土地を権原がないにもかかわらず占有している。

港湾局は、平成元年度に本件法人とそれまでの契約が終了した後、一定期間交渉を行ったものの、新たな契約を締結するまでには至っていない。

最近交渉を再開しているが、少なくとも8年10か月以上交渉を中断しており、このことに合理的理由がない。

港湾局は、本件土地の適正化に向けて、本件法人と一定期間交渉を行うなど努力を重ねてきた状況はあるものの、交渉が長期間中断し、現在まで本件法人は港湾局用地を無権原に占有していることから、都は本件土地の財産の管理を違法・不当に怠っているとする請求人の主張には理由があるものと認める。

勧告

本件土地の無権原占有状態の是正及び無権原占有に伴い都が被った損害の補てんのために必要な措置を、平成16年3月31日までに講ずること。

知事が講じた措置(PDF 20KB)
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4 江東区に所在する建設局所管の都有地が不法占有されていることは財産の管理を怠るとして必要な措置を求める件

請求日 平成15年8月12日
結果通知日 平成15年10月3日

請求人の主張

建設局は、学校法人東京朝鮮学園(以下「本件法人」という。)が建設局所管の都有地(江東区道)を不法占有しているのに、違法・不当に不法占有状態を見過ごし、適正な財産管理を怠っているとして、不法占有の解消及び損害の補てんを求めた。

監査結果

理由なし(棄却、意見あり)

本件法人は、建設局所管の都有地(江東区道)を遅くとも昭和39年2月20日頃以降、権原なく占有している。

当該土地は、道路法上、道路管理者である江東区の管理下にあり、建設局の取りうる措置には制約がある。しかし、長期間、道路管理者である江東区にその解消を依頼するなど、何ら適切な措置を講じてこなかったことは、公有財産の管理の面から違法・不当に怠ると言わざるをえない。

当該土地について、都に財務会計上の損害は発生していないので、請求人の主張には理由がないものと認めざるをえない。

意見

道路法上の制限があるにせよ、長期間にわたって土地の管理に適正を欠く状況が継続していることから、建設局は、港湾局及び道路管理者である江東区と連携を図り、無権原状態の早期解消を図られたい。

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5 江東区に所在する財務局所管の都有地の払下げが違法・不当であるなどとして必要な措置を求める件

請求日 平成15年8月12日
結果通知日 平成15年10月3日

請求人の主張

財務局は、枝川一丁目適正化事業(以下「本件適正化事業」という。)地域において財務局所管の都有地が不法占有されているのに、違法・不当に不法占有状態を見過ごし、適正な財産管理を怠っているとして、不法占有の解消及び損害の補てんを求めた。

監査結果

理由なし(棄却)

当該地に6区画の都有地があり、このうち3区画は無権原占有状態にある。

この3区画については、本件適正化事業の歴史的経緯などの諸状況に加え、関係人が特定されていない中で、引き続き適正化に向けた努力が続けられていることから、財産の管理を違法・不当に怠る事実は認められない。

財務局所管の都有地(旧枝川町簡易住宅用地)が不法占有され、財産の管理を違法・不当に怠っているとの請求人の主張には理由がないものと認める。

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6 江東区に所在する財務局及び建設局所管の都有地が不法占有されていることは財産の管理を怠るとして必要な措置を求める件

請求日 平成15年8月28日
結果通知日 平成15年10月3日

請求人の主張

財務局及び建設局は、それぞれ所管の都有地(旧区道敷及び区道敷)が不法占有されているのに、違法・不当に不法占有状態を見過ごし、適正な財産管理を怠っているとして、不法占有の解消及び損害の補てんを求めた。

監査結果

理由なし(棄却)

財務局所管の2区画及び建設局所管の1区画については、都と占有者との間に貸付契約等は締結されておらず無権原占有状態にある。

当該地は、本件適正化事業の歴史的経緯などの諸状況がある中で、引き続き、適正化に向けた努力が続けられていることから、財産の管理を違法・不当に怠る事実はない。

本件土地が不法占有され、財産の管理を違法・不当に怠っているとの請求人の主張には理由がないものと認める。

意見

本件土地については、無権原占有の状態にあるが、相手方が特定されていることから、早期適正化に向けてなお一層の努力が望まれる。

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7 学校法人所有の土地等に建設されている家屋等が非課税用途に供されていないにもかかわらず固定資産税等を賦課徴収していないことを違法・不当として必要な措置を求める件

請求日 平成15年8月12日
結果通知日 平成15年10月3日

請求人の主張

主税局は、学校法人東京朝鮮学園(以下「本件法人」という。)の所有地等に建築された店舗・駐車場にかかる固定資産税等の賦課徴収を怠っているとして、その是正を求めた。

監査結果

理由なし(棄却)

駐車場は償却資産であり、その課税標準額は免税点未満となっており、課税対象とならないとの主税局の説明は妥当である。

店舗、店舗敷地、駐車場敷地の固定資産税・都市計画税等の賦課徴収手続を行っていなかったが、既に賦課徴収を怠る事実は是正されている。

本件法人の所有地等に建築されている本件店舗、本件駐車場及びその敷地にかかる固定資産税、都市計画税及び不動産取得税の賦課徴収を、都は、違法・不当に怠っているとする請求人の主張は、怠る事実は是正されていることから、理由がないものと認める。
ただし、このような課税対象の捕捉もれが発生したことは遺憾であり、今後とも課税事務の適正な執行に努められたい。

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8 都有地の払下げを受けた者に対する不動産取得税等の賦課徴収を違法・不当に怠るとして必要な措置を求める件

請求日 平成15年8月12日
結果通知日 平成15年10月3日

請求人の主張

主税局は、人的非課税団体(国、地方公共団体等)ではないにもかかわらず、人的非課税団体に払い下げたことにして、固定資産税等を非課税とし、都有地の払下げを受けた者に対する固定資産税等の賦課徴収を怠っているとして、その是正を求めた。

監査結果

理由なし(棄却)

人的非課税団体に払い下げたことにして非課税にしたとする主張は請求人の誤解に基づくものであり、適正な手続で私人に売却されている。

適正に課税されている。

人的非課税団体ではないにもかかわらず、人的非課税団体に払い下げたなどとして、税の賦課徴収を都は違法・不当に怠っているとする請求人の主張には理由がないものと認める。

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9 都立養護学校教職員が勤務時間中に職場離脱したにもかかわらず給与を減額せず支給したことを違法・不当としてその返還を求める件

請求日 平成15年11月18日
結果通知日 平成16年1月16日

請求人の主張

都立七生養護学校の教職員が1泊2日の親睦旅行に参加するため勤務時間中に職場離脱したにもかかわらず、勤務時間内に勤務しなかった時間分の給料等を減額せず給与を支給したことは違法・不当であるとして、その返還を求めた。

監査結果

理由なし(棄却)

平成14年11月22日、校長及び17名の教育職員が午後4時30分に職場を離脱し、それぞれ45分間、15分間、勤務時間内に勤務をしなかったことが認められた。これ以外に、平成14年11月に勤務をしなかった事実は認められなかった。

学校職員の給与に関する条例第16条及び学校職員の給与に関する条例施行規則第7条によれば、毎月の勤務をしない時間の合計が30分未満のときは給与を減額しないこととし、30分以上1時間30分未満のときは減額すべき時間数は1時間となる。

このことに照らし、校長については、1時間分の給与を減額すべき必要があるものの、減額すべき給与相当額が平成15年12月15日に全額返還されたこと、また、教育職員17名については、現行条例・規則では給与を減額できないことが認められる。

以上のことから、請求人の主張には理由がないものと認める。

意見

児童・生徒の範となるべき教育公務員が勤務時間内に職場離脱を行ったことは誠に遺憾であり、都教育委員会は、勤務時間の遵守など服務規律の確保に向け、今後指導を徹底し、都民の信頼回復に努められたい。

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10 東京消防庁職員公舎の借上げ等を違法・不当として必要な措置を求める件

請求日 平成16年2月12日
結果通知日 平成16年4月9日

請求人の主張

請求人は、麻布消防署長の幹部待機宿舎として借り上げたマンションの賃貸借契約の締結並びに消防学校長及び消防科学研究所長の幹部待機宿舎にかかる使用料の徴収が違法・不当であると主張した。その理由は、

(1)消防学校長は緊急性の高い職務ではないから、消防学校長を赤坂宿舎に入居させる必要はなく、麻布消防署長を赤坂宿舎に入居させれば、本件マンションを借り上げる必要がない。

(2)消防学校長らの幹部待機宿舎の使用料について、減額するに当たっての基準で定められている本来的要素の他に付加的要素としての「入居による生活上の拘束性」及び「役職による住宅への入居強制」の各項目を、いずれも上限の10ポイントと算定し、100%減額しているが、これらの職は緊急性を有しないものであるから、100%減額する必要がない。

監査結果

理由なし(棄却)

(1) については、
 従前の麻布消防署長の幹部待機宿舎は、同署の上階に合築で整備されていたが、庁舎の事務スペース不足のため、宿舎部分を防災教室等の目的に転用することに伴い、東京消防庁が暫定的措置として、同署の管轄区域内に所在する本件マンション(賃借料月額37万5,000円)を借り上げたことは、妥当であると認められる。
 なお、本件マンションの入居条件は、地域の相場から見て致し方ないものの、通常の水準から見てかなり高いレベルになっている。
 また、消防学校長の災害時における役割から見て、消防学校長を幹部待機宿舎の入居者として指定したこと及び赤坂宿舎に入居指定したことは、いずれも妥当であると認められる。

(2)については、
 消防学校長らについて、東京消防庁が、災害時における役割や事実上入居が強制されていることなどから「役職による住宅への入居強制」を10ポイントと算定したことは妥当であると認められる。
 また、「入居による生活上の拘束性」については、東京消防庁は今後算定に当たっての客観的な基準の整備が必要と考えられるが、消防学校長らの災害時における役割などから「入居による生活上の拘束性」が強いと判断し、10ポイントと算定していることは、東京消防庁の行政上の判断として理解でき、これまでの措置として是認できる。

以上のことから、請求人の主張には理由がない。

意見

直下型地震をはじめ様々な災害への対応など都民の安全を確保する上で、東京消防庁の幹部職員は極めて重要な役割を担っており、その待機宿舎の使用料などについて特段の配慮を講じることは必要不可欠である。
しかしながら一方で、厳しい社会経済状況の下で、東京の住宅事情や職員住宅としての性格などに照らして、都民の理解が得られるよう、今後入居条件の設定などに当たっては、これまで以上に適切に対処されたい。

監査結果本文を見る(PDF 53KB)