住民監査請求結果(平成18年受付分)

1 出納長専用車及び都議会議員公用車の私的使用を違法・不当としてその使用に要した経費の返還を求める件

請求日 平成18年2月22日
結果通知日 平成18年4月20日

請求人の主張

請求人は、次の理由により、現出納長による専用車の使用及び本件議員による公用車の使用にかかる経費の支出は違法・不当であるとして、その返還を求めた。

1 現出納長は、平成18年1月16日、同月17日、2月3日及び同月6日に、飲食店への立ち寄りや買い物に出納長専用車を使用しており、公用車を私的に使用した場合に当たる。

2 本件議員は、平成18年2月6日に、飲食店への立ち寄りに議員公用車を使用しており、公用車を私的に使用した場合に当たる。

監査結果

理由なし(棄却)

1 出納長専用車の使用について

(1)現出納長が、千代田区管理職員からの相談への対応、勤務時間中の検討会に引き続き実施した管理職員との議論と夕食・懇談、地域住民との意見交換を行ったというものであり、これらは、社会通念上、専用車の使用を差し控えるべき場合には当たらないものと解される。

(2)出納長専用車で帰宅途中に、注文品の受け取りや軽微な買い物を行ったものであり、同様の行為が通勤の機会を利用して、広く一般的に行われているものであることから、社会通念上認められる行為に当たるものと認められる。


2 議員公用車の使用について

本件議員が、千代田区内の飲食店において、現出納長や区内在住の中小企業の経営者等と区内のまちづくり等について意見交換を行ったことは、広範な議会活動の一環であり、「都議会における公用車の使用要領」に則した使用であるとする主張は理解できる。

監査結果本文を見る(PDF 45KB)

2 都議会議員が開催する会への出席に伴う公用車使用を違法・不当としてその使用に要した経費の返還を求める件

請求日 平成18年3月7日
結果通知日 平成18年4月26日

請求人の主張

請求人は、こいそ明都議会議員が開催した「新春の集い」は、個人の政治活動であり、都議会議員及び都庁職員が本件集いへの出席に公用車を使用したことは、個人の政治活動である会に公用車を使用するものとして許されず、当該経費の支出は違法・不当であるとして、その返還を求めた。

監査結果

理由なし(棄却)

(1)本件幹部職員による公用車の使用について

本件幹部職員が、本件集いへの出席に、専用車を使用したことは、情報収集や意見交換のためであるとともに、社会的儀礼の範囲のものでもあり、社会通念上、専用車の使用を差し控えるべき場合には当たらないものと解される。

(2)議長、幹事長及び本件議員による公用車の使用について

本件集いへの出席に当たり、議長及び幹事長が議会専用車を使用したことについては、それぞれ公的な立場で出席したものであり、議会活動であるとともに、社会的儀礼の範囲であること、また、本件議員が議会共用車を使用したことについては、「都議会における公用車の使用要領」に則した使用であることとする主張は、認められる。

監査結果本文を見る(PDF 66KB)

3 都議会議員の集まりへの公用車使用を違法・不当としてその使用に要した経費の返還を求める件

請求日 平成18年3月29日
結果通知日 平成18年5月24日

請求人の主張

請求人は、平成18年3月6日に開催された本件集まりが、一部の都議会議員による私的な集まりであり、公用車を使用することは許されず、当該経費の支出は違法・不当であるとして、その返還を求めた。

監査結果

理由なし(棄却)

本件集まりは、会派としての意思決定に資するため、当選期ごとの意見集約等を行うための会であり、当日もオリンピック東京招致問題をはじめ、都政の重要課題に関して幅広く意見交換等を行ったものであるとする主張については、その内容が参加した同一会派の都議会議員の主張からしかうかがえないものの、会派としての意思形成のために、会派を構成する様々なグループが、議場外の飲食を伴う場において、意見調整、合意形成、方針確認等を行うことはあり得ることであり、本件集まりが都議会開催中の、予算特別委員会を直前に控えた重要な時期に行われたこと、及び、意見交換の主な内容の一つであるオリンピック東京招致問題について、本件集まりの直後に本会議において議決が行われていることなどに鑑みれば、当該主張内容に不合理は認められず、本件公用車使用が議会活動の範囲を逸脱したものとは認められない。

監査結果本文を見る(PDF 52KB)

4 出納長専用車の私的使用を違法・不当としてその使用に要した経費の返還を求める件

請求日 平成18年4月25日
結果通知日 平成18年6月21日

請求人の主張

請求人は、平成17年7月5日、同年8月12日、同年9月2日、同月9日、平成17年11月8日、同月29日及び平成18年1月5日において、現出納長が公用車を出先に深夜まで長時間待機させ、その後に帰宅しているのは、社会通念から見て公務とは認められず、公用車を私的に使用しているものであり、そのため当該経費の支出は違法・不当であると主張し、その返還を求めた。

監査結果

理由なし(棄却、意見あり)

本件は、現出納長が、職務上知り合った、又は、職務上関わりのある関係者からの相談や呼びかけに応じ、又はこれらの関係者に呼びかけて情報収集や意見交換等を行い、結果として長時間に及んだというものである。また、現出納長の説明とこれらの関係者の説明とは相互に符合しているものと認められる。
出納長は都の特別職であって、会計事務に止まらず、幅広く都政全般にわたって知事を補佐する職責を有し、この職責を果たすために、直に都民等の意見を聞いたり、都民等と都の政策や課題について話し合うことは、貴重な機会であるとともに、必要な手段であることは理解できる。
したがって、都の特別職として、都政運営に資するために、様々な機会を捉えて情報収集や意見交換等を行い、本件のように、結果として長時間に及び、深夜にわたったとしても、そのことのみをもって、専用車使用の趣旨を逸脱したとまでは認められない。

意見

専用車は、使用する者の判断に基づいて運行される。このため、専用車を使用する者には、常に適切な判断が求められているとの自覚が不可欠であり、使用に当たり、いやしくも都民に疑義を抱かれることのないよう努められたい。

監査結果本文を見る(PDF 273KB)

5 知事と議論する会にかかる事前打合せ経費の支出を違法・不当としてその返還を求める件

請求日 平成18年6月23日
結果通知日 平成18年8月9日

請求人の主張

請求人は、本件議論する会の開催に当たって、コメンテーター及びコーディネーターに支払われた謝金のうち、事前打合せ相当分について、以下のように、違法・不当であると主張し、その返還を求めた。

ア 見識・経験のある助言者等に対して面談によるレクチャーを行う必要があるのか、また、実際に行っているのか疑問であり、支払う必要はないこと。

イ 仮に事前打合せが行われたとしても、打合せであり、割増しを行う必要はないこと。

監査結果

理由なし(棄却)

事前打合せを支払対象としたことは、事前打合せが不可欠であり、助言者等に必ず時間を割いてもらうよう依頼したことからすれば、監査対象局の判断として、理解できる。

事前打合せを2時間と設定したことは、助言者等に対し、事前打合せの目的を達成するための対価として、一定時間分の謝金を支払うという条件を定めたものと考えられることから、監査対象局として、過去の実績等から最低限2時間が必要であるとしたことをもってすれば、謝金対象時間として2時間と定めたことが、不合理なものとは認められない。

単価に本件割増しを乗じた額を謝金算定の基礎額としたことは、本件割増の要件が、開催される会の規模に応じたものであることから、謝金算定の基礎となる額を開催する会の規模に合わせたものにすぎず、このような取扱いが合理性を欠くものとは認められない。

監査結果本文を見る(PDF 45KB)

6 知事専用予備車が2台あることを不要としてそれにかかる経費の返還を求める件

請求日 平成18年10月3日
結果通知日 平成18年11月29日

請求人の主張

請求人は、平成18年度は、知事専用予備車はエルグランドと旧センチュリーの2台であり、旧センチュリーが無駄であると主張し、旧センチュリーにかかる賃貸借契約代金の返還を求めた。

監査結果

理由なし(棄却)

知事専用車を平成18年度に導入する際の車種選定にかかる文書においては、監査対象局は、平成18年1月には、平成18年度からエルグランドを一般共用車とする意思を有していたことが窺える。

運転日誌の記載及び対象車両の運用実態も、平成18年度において、エルグランドを一般共用車として運用しているとする監査対象局の主張と符合している。

以上から判断すると、平成18年度において、監査対象局はエルグランドを知事専用予備車として運用しているとはいえないことから、知事専用予備車がエルグランド及び旧センチュリーの2台であり、旧センチュリーが無駄であるとする請求人の主張は、その前提を欠く。

監査結果本文を見る(PDF 41KB)