平成14年度出納長所属各会計決算審査
監査委員は、第三回都議会定例会に知事から提出された平成14年度各会計歳入歳出決算について、地方自治法の規定により審査し、意見を付しました。
審査の結果
審査に付された一般会計及び特別会計の歳入歳出決算書、歳入歳出決算事項別明細書及び収支に関する調書の計数は、誤りのないものと認められました。
なお、財産に関する調書の計数の一部に誤りが認められました。
審査結果の概要
公有財産(土地、建物)
過大に登載されているもの・・・4件
登録漏れとなっているもの・・・3件
物品
過大に登載されているもの・・・1件
登録漏れとなっているもの・・・1件
事業執行に関する意見
(1)全体意見
ア 財政状況について
平成14年度一般会計決算は、歳入5兆8,463億余円、歳出5兆8,115億余円で、形式収支348億余円から翌年度へ繰り越すべき財源(制度繰越)198億余円を差し引いた実質収支は、149億余円の黒字となっている。
しかし実際には、公営企業会計への支払繰延などを行っているため、「平成14年度普通会計決算」では、524億円の赤字が生じ、都財政は平成10年度以降5年連続の赤字決算という厳しい状況が続いている
また、平成15年7月に発表された「第二次財政再建推進プラン中間のまとめ」の試算によれば、都税収入に大幅な伸びが期待できない中で、平成16年度から18年度まで、毎年度3,500億円程度の財源不足が見込まれる状況にある。
都は、これまで財政再建推進プランに基づき全力をあげて財政再建に取り組み、着実に成果を挙げているが、このように都財政は依然として厳しい状況が続いており、財政再建は未だ途半ばである。
一方、そうした中においても、都民生活の不安を解消するための治安対策、雇用・就業・中小企業対策、都市基盤の整備、福祉・環境対策などの優先課題に、積極的に取り組んでいくことが強く求められている。
そのためには、地方分権による税財政制度の改革を早期に実現する一方、これまで以上に都自らの内部努力を徹底し、すべての施策について聖域のない見直しを行うなど、財政の構造改革を更に進めていかなければならない。
以上のとおり、都は、引き続き厳しい財政状況の中で、都民の期待に応えて山積している重要課題を解決しながら、いち早く自主的な財政再建を成し遂げるよう、更なる努力が望まれる。
イ 事業執行について
一般会計決算における都税、諸収入、使用料及手数料などの収入未済額は、前年度(1,976億余円)に比べ261億余円減少しているものの、平成14年度末で1,714億余円と、いまだ多額なものとなっている。
各局は、都財政の現状を十分に認識し、負担の公平性等の観点から、未納者への適切な措置を講ずるなど、引き続き、収入未済額の縮減に向け、より一層の努力が望まれる。
(2)主な局別意見
絵画等美術品の物品管理を適正に行うべきもの
局は、平成14年度、現代美術館を教育庁から所管換えし、3,821点の収蔵美術品を引き継いでいる。
しかし、このうち1,411点については、評価がなされておらず、価格が不明であるため、物品管理規則に基づく物品としての管理が行われていないことが認められた。
現代美術館が収蔵するこうした絵画等美術品は、地方自治法第237条に定める都の財産であり、かつ貴重な文化財であることから、局は未評価の美術品について、価格評価手続をとるなど、物品としての管理を適正に行われたい。
生活文化局 P.74
譲り受けた債権の整理回収に係る事務処理を適切に行うべきもの
局は、世界都市博覧会中止に伴い、影響を受けた中小企業者等に対し、経営の安定を図るため、平成7年度に金融機関を通じ、77億8,520万円の運転資金の貸付を行った。
この貸付金は、期限を過ぎても借受人から返済されず、取扱金融機関が債権の保全及び回収が困難又は不適当と判断した場合、局がその損失金を補償するとともにその債権を譲り受けることとされており、平成14年度末の総額は21億6,592万余円となっている。
ところで、譲り受けた債権の整理回収に係る事務処理状況を見たところ、局は、債権の一部回収等を図っているものの、未収となっているものの件数及び金額等を正確に把握しておらず、歳入調定も行われていないなど、適切を欠く状況が認められた。
局は、早急に金融機関から譲り受けた債権について、未収金の調定を行うなどし、整理回収に係る事務処理を適切に行われたい。
産業労働局 P.103