平成13年度公営企業各会計決算審査意見書

本日の都議会定例会に提出された平成13年度東京都公営企業会計決算について、地方公営企業法の規定により、監査委員が審査を行い、次のとおり意見を付した。

審査の結果

各会計の決算諸表は、経営成績及び財政状態を適正に表示しているものと認められた。

事業執行等に関する意見

事業全体に関する意見 4件(東京都交通事業会計ほか3件)
特定審査事項 6件(東京都病院会計ほか5件)

意見の概要

事業全体に関する事項

自動車運送事業の事業運営について

局は、大江戸線開業などに伴う乗客潮流に対応した路線再整備を実施している。これに続き、平成13年3月に「東京都交通局経営計画-チャレンジ2001-」を策定し、収支の改善及び効率的な経営の確保を目的に、乗客需要に的確に対応した路線の見直しなどを行うこととしている。

平成13年度の経営状況は、土地の売却などにより純利益を計上しているものの、営業損益では48億余円の営業損失を計上し、前年度と比べて9億余円悪化しており、また、路線バス(乗合自動車)事業の運輸実績は、事業効率を示す運行1キロ当たりの乗車人員が年々減少しているなど厳しい事業環境にある。

局は、今後とも乗客動向を的確に把握し、乗客需要に合わせた路線整備を進めるなど、経営計画を着実に実施し効率的な事業運営に努められたい。

東京都交通事業会計

特定審査事項

平成13年度は、全体の想定乳幼児数延べ月1,609人に対し実績は延べ月893人(55.5%)となっている。

想定乳幼児数と実績乳幼児数の差について保育士数を試算すると、2箇所の保育室の常勤保育士各1名及びパート保育士のかなりの部分が過大となっている。また、必ず2名保育士が配置されることで、乳児でも6名まで保育できるにもかかわらず、乳幼児数が最大の月でもこれに満たない保育室が5室ある。中には、2名、3名の保育室もあり、効率性が確保されていない状態にある。

院内保育料は、平成元年に現行の1万8,000円に改定されているが、当該改定の基準となった特別区の保育料が、平成9年4月以降に37%強値上げされたにもかかわらず、据え置かれたままになっている。

本部は、実績と乖離している乳幼児数想定方法の工夫を行うなど、保育実績を反映する契約内容への見直しが必要である。また、適正な利用者負担を求めるため、保育料の改定を検討する必要がある。

東京都病院会計

小型特殊自動車の電動車化について

現在、小型特殊自動車の排気ガス量は、軽自動車並みの車3,500台の排出量に相当すると市場では推定しているが、大屋根で覆われている構造上場内環境に対する負荷は単純な排出量以上のものと見込まれる。

ところで、市場では、場内環境の改善を目指しこの事業を開始したにもかかわらず、その効果の測定をしていないのみならず、大田市場青果棟と築地市場で環境測定を実施したのみで、他の市場では、環境実態も把握していない。

補助制度改正後の電動化率は、21.5%から24.7%へと3.2ポイント増に留まっている。これは、新たにリースが補助対象となったことに伴い、電動車から電動車への切り替えが多数含まれていたことが主な原因である。また、業者は、電動車以外の小型特殊自動車については、自己の店舗前等に放置している例が多いが、電動車化した場合は、充電設備との関係で駐車場を借りることとなり、電動車の使い勝手の悪さのひとつとなっているとともに、駐車場料金の負担は補助金の効果を減殺することとなっている。

今後市場は、電動車化を環境対策の一環として進めていくために、全市場での環境調査を実施し現状を明らかにし、環境改善計画を作成するとともに、(1)小型特殊自動車の新規導入、更新に当たっては原則として電動車以外の登録は認めない、(2)駐車場料金等が電動車化へのマイナス誘因とならないよう小型特殊自動車の保管場所、保管方法について検討するなど、実効性のある措置を講じるべきである。

東京都中央卸売市場会計

温室効果ガスの排出削減への取組について

「下水道構想2001」では、平成16年度の温室効果ガス削減量を平成11年度の発生量(約82万トン)の3%(二酸化炭素換算)、約3万トンとするとしているが、下水の熱を利用した冷暖房システムの導入が進んだことなどにより、温室効果ガスの排出量が減り、平成12年度において既に目標を達成したとしている。

しかし、削減目標値3万トンは、平成12年度以降の総排出量推計値が設定されていないことから、今後の汚泥全量焼却などにより排出量の増加が見込まれる中で、総排出量の抑制による地球温暖化防止の効果が確認できないものとなっている。

都が政策提案を行い実現を目指す「地球温暖化阻止!東京作戦」(平成14年2月)では、大規模事業所に対する温室効果ガスの削減義務の導入が提案されていることからも、局は、排出量の将来推計を行うとともに、総排出量の削減に向けた新たな計画を策定し、排出削減に努めるべきである。

東京都下水道事業会計

平成13年度東京都公営企業各会計決算審査意見書

東京都病院会計(病院経営本部)(PDF形式 75KB)
東京都中央卸売市場会計(中央卸売市場) (PDF形式 77KB)
東京都臨海地域開発事業会計(港湾局) (PDF形式 48KB)
東京都港湾事業会計(港湾局) (PDF形式 66KB)
東京都交通事業会計(交通局) (PDF形式 83KB)
東京都高速電車事業会計(交通局) (PDF形式 77KB)
東京都電気事業会計(交通局) (PDF形式 38KB)
東京都水道事業会計(水道局) (PDF形式 66KB)
東京都工業用水道事業会計(水道局) (PDF形式 59KB)
10 東京都下水道事業会計(下水道局) (PDF形式 79KB)
記事ID:036-001-20240722-002726