監査委員は、第三回都議会定例会に知事から提出された平成１５年度東京都公営企業各会計決算について、地方公営企業法の規定により審査し、意見を付しています。
平成１５年度東京都公営企業各会計決算審査意見書全文
知事からの審査依頼に基づき、公営企業１１会計について、審査を行いました。
審査では、各事業の決算諸表が経営成績及び財政状態を適正に表示しているか確認し、企業の経済性の発揮及び公共性の確保の観点から、事業運営が適切に行われているか検証しました。
審査に付された決算諸表は、３件の指摘事項を除き、各会計の経営成績及び財政状態を適正に表示しているものと認められました。
事業執行等に関しては、１件の意見・要望を付しています。
２ 会計処理を適正に行うべきもの
交通局は、検測車両の演算処理装置が老朽化したため、新しい装置を2,380万円で取得して修繕費に計上しているが、新規に取得した装置は従来の装置に比べ演算速度が大幅に向上し、資産価値が増大することから、資本的支出として固定資産の取得原価に参入すべきものであり適正でない。
【指摘事項】 高速電車事業会計（交通局）PDF 98KB 意見書本文 Ｐ．２
３ 会計処理を適正に行うべきもの
交通局では、発電所が所在する奥多摩町に対して、国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律第２条第１項に基づき、市町村交付金4,126万9,900円を交付しているが、当該市町村交付金は消費税法の課税対象外であり、市町村交付金の全額を費用として計上すべきところ、課税取引として処理したことから費用が196万5,233円過少となっている。
【指摘事項】 電気事業会計（交通局）PDF 46KB 意見書本文 Ｐ．１
１ 後発医薬品の利用促進を図るべきもの
後発医薬品は、先発医薬品の4割から8割と低価格に薬価が設定されているため、その有効活用は病院経営上経費削減に資するだけでなく、患者の経済的負担を軽減することにもつながっている。とりわけ外来患者の場合、医療費に占める薬剤費の割合はおよそ４０パーセントに上ることから、患者の負担軽減効果は大きい。
後発医薬品については、｢２１世紀の医薬品のあり方に関する懇談会｣の最終報告においても、｢低価格の医薬品の提供を通じて国民負担の軽減に資する｣とし、有効活用を図る必要が認められている。厚生労働省は、そのための条件整備の一環として、平成１０年１月より後発医薬品の承認審査に際し、品質確保の検査を強化するとともに、それ以前の後発医薬品についても計画的に品質再評価事業を実施し、この結果を公表している。さらに、安全性情報の収集や提供に向けての調査指導の強化、安定供給に関する指導強化など行い、後発医薬品に対する信頼性の確保に努めている。また、診療報酬計算上も、後発医薬品の調剤に係る加算等を新設するなど、後発医薬品の利用拡大を誘導している。
病院経営本部は、都立病院改革実行プログラム（平成１５年１月）において、コスト削減の一環として後発医薬品の採用拡大を掲げ、平成１５年度予算においては、平成１３年度に2.3％であった後発医薬品費率を4.3％に引き上げるとしたが、平成１５年度における実績は、3.4％にとどまっており、また品目数、金額ともに各病院間で差が見られる。
都立病院における後発医薬品の使用は、主としてコスト削減の視点から進められているが、今後後発医薬品の使用を促進するために、本部は、後発医薬品使用の最大のメリットは患者の経済的負担の軽減であることを明確にして、各病院に対して、国の進める条件整備の状況を踏まえ、後発医薬品の採用の可否を検討するなどの実効性ある方策をとるよう指導されたい。
※注 後発医薬品とは、一般的に、新医薬品として製造承認を受けている医薬品(以下｢先発医薬品｣という｡)の特許期間が経過した後に、厚生労働省の承認を得て発売される医薬品で先発医薬品と有効成分、効能等が同一である医薬品をいう。
【意見・要望事項】 病院会計（病院経営本部）PDF 67KB 意見書本文 Ｐ．２
