平成16年工事監査報告書
監査委員は、本日の都議会第一回定例会に「平成16年工事監査報告書」を提出しました。
監査の概要
東京都が実施した工事1,566件(平成15年度における100万円以上の工事1万4,574件の1割強)を抽出して監査を行いました。
合計14局に対して、29件の指摘、2件の意見・要望を行いました。積算ミスなど指摘した金額の合計は、約9,028万円となっています。
監査の結果、次のような事例について改善を求めました。
- 工事費の積算における基準の取違えや業者からの見積書を十分に精査しないまま採用しているものなど、基本的な確認を適切に行っていない。
- 施工における安全管理など請負者の行うべき管理事務について、都が請負者に対して指導、監督を適切に行っていない。
これらの要因としては、
合計14局に対して、29件の指摘、2件の意見・要望を行いました。積算ミスなど指摘した金額の合計は、約9,028万円となっています。
監査の結果、次のような事例について改善を求めました。
- パソコンを使った積算事務の自動化や外注化が進む中で、積算に対する職員の理解や経験が不足してきていること
- 現場の施工状況をしっかりと把握していないこと
- 専門外の職員による設計、施工管理に対する支援体制が不十分なこと、
などが考えられます。
積算におけるチェック体制の強化や支援体制の充実など、再発防止に向けて取り組むとともに、技術力の維持や向上を目指すことを求めました。
主な事例(要旨)
設計
ア 建設発生土の受入地選定について検討すべきもの
防火水槽設置工事における建設発生土の受入地選定について見ると、工事箇所の土質が予め分からないとして、 受入土質の条件が幅広い新海面処分場を一律に選定している。
しかしながら、近年、公表されている土質データバンク等の利用により、工事箇所の土質を想定できるようになってきていることから、事前に発生土の土質を予測し、新海面処分場以外の受入地も含めて、運搬費や受入料金等の経済比較を行い、適切な受入地を選定すべきである。
建設発生土の受入地選定について検討されたい。
東京消防庁(意見・要望事項 本文P.10)
積算
イ コンクリート壁等のレントゲン撮影の積算を適正に行うべきもの
警視庁府中運転免許試験場ほか免許系ネットワーク更改に伴う情報通信設備工事におけるコンクリート壁等のレントゲン撮影の積算について見ると、1日1枚撮影するものとして現像車費、撮影技師費及び現像・フィルム費で撮影単価を設定し、これに撮影枚数を乗じている。
しかしながら、撮影場所が同一のときは、1日で複数枚撮影することが可能であり、現像車費及び撮影技師費は必要な日数及び人員を基に個別に積み上げて算出すべきである。
仮に、個別に積み上げると、積算額約1,212万円が低減できるものである。
警視庁(指摘事項 本文P.14)
ウ 諸経費の積算における工種区分の適用を適正に行うべきもの
工事の諸経費率は工種区分により異なっているが、十条台幹線二次覆工工事の諸経費の積算を見ると、工種区分を下水道工事とすべきところ、誤って率の高い共同溝等工事を選択し、工事費を積算している。
このため、積算額約2,091万円が過大なものとなっている。
下水道局(指摘事項 本文P.20)
エ 他企業工事等の請負者に特命随意契約する場合の諸経費調整について検討すべきもの
現在工事を実施中の請負者に、同一場所で新たな工事を特命随意契約で発注する場合、現場事務所の費用など共通する経費を調整し節減することとしている。
局基準では、現工事が他企業工事等(局発注以外の工事)の場合は、工事費内訳の把握が困難として、現工事の工事費に係わりなく、当該工事を単独で発注した場合の諸経費に一定の率を乗じて調整するものとしている。
しかしながら、近年、他企業工事等においても工事費内訳を把握できる事例が増えていることから、局発注工事の場合と同様に、現工事と合算した工事費に応じた諸経費調整を行うことが可能であり、このような方法で調整すれば、より経済的となる場合が多い。
他企業工事等の請負者に特命随意契約する場合の諸経費調整について、早期に検討されたい。
水道局(意見・要望事項 本文P.20)
施工
オ 建設廃棄物処分に係る事務処理について請負者を適切に指導、監督すべきもの
東京都建設リサイクルガイドライン等によると、都は発注者として、請負者の提出する建設廃棄物処理委託契約書等の写しの内容を確認するとともに、産業廃棄物管理票について施工計画書の記載事項と照合し、適正に処分されているかを確認することとされている。
しかしながら、路面補修工事(7の3)におけるアスファルト廃材の処分に係る事務処理について見ると、請負者が締結した処理委託契約書に不備が認められ、また管理票の一部に収集運搬会社名の記入がないなど、必要な確認が行われていないことが認められた。
建設局(指摘事項 本文P.24)