平成22年工事監査報告書

東京都監査委員は、本日の平成23年第一回都議会定例会に、「平成22年工事監査報告書」を提出しました。

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監査の概要

都が平成21年度に締結した100万円以上の工事等1万5,789件(約1兆2,776億円)のうち、約1割に当たる1,541件(約4,071億円)を抽出し、設計・積算、施工などについて、技術面から監査を実施しました。

【監査の結果】
13局に対し、指摘事項35件、意見・要望事項1件 、指摘した金額の合計は、約7,202万円です。

【重点監査事項「施工管理」】
工事の監督・検査、施工状況の確認等、施工管理が適切に行われているかを監査した全案件(1,541件)について検証しました。

その結果、車道用転落防止柵の固定用アンカーボルトの埋込長不足により安全を十分に確保できない事例(裏面参照)など指摘事項は9件です。

【まとめ】
指摘事項の要因は、
① 資機材の採用や施設の検討において、経済性などの基本的な認識が不足していること
② 設計、工事監督など経験の不足により、現場状況を十分把握できないこと、請負者へ施工管理に関する十分な指導監督ができないこと v などと考えられます。

このため、
① 積算の誤りなどを防止するための対策として、チェック体制の整備・強化
② 工事に携わる技術職員の技術力の維持・向上への取り組みとして、
適切な実務経験を積むことにより広範な知識と視野の拡大を図ること
を求めています。

主な事例(要旨)

設計

(1)現場の状況にあわせた経済的な設計を行うように求めました

◎ 解体工事の設計を適切に行うべきもの(福祉保健局、報告書本文P.10)
 (旧)東京都小平児童相談所(H21)解体工事ほか1件において、解体建物の屋上に重機を載せ、上部から解体することを想定して、建物の全周に足場を組み、防音シートにより騒音対策などを行う設計となっていました。
しかし、地上に重機を設置して解体できるので、建物周囲のうち一面を解体作業スペースとして設計することが妥当で、実際の工事もそのように行っていました。
地上に重機を設置して解体することで、積算額約252万円を縮減できるはずでした。

積算

(2)単価を誤って積算し、過大な工事費を見積っていました

◎ 展示資料制作の単価設定を適正に行うべきもの(環境局、P.12)
 環境学習施設整備工事において、施設に展示する展示物制作の単価を見積りに基づき設定していましたが、誤って7倍の単価により、積算していました。
この結果、積算額約698万円が過大なものとなっていました。

施工

(3)設計のとおり工事するよう、適切な施工管理を求めました  [重点監査事項]

◎ アンカーボルトの出来形管理を適正に行うべきもの(建設局、P.23)
 谷地川整備工事(その25)において、車道用転落防止柵を護岸上部のコンクリート側面に固定するため、アンカーボルトをコンクリートに180mm埋め込むものとして設計していましたが、そのとおり施工されていないものがあり、車両の転落を防止できないおそれがある箇所も認められました。

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