平成13年度各会計定例監査(平成12年度執行分)報告書

東京都監査委員は、第一回都議会定例会開会日に「平成13年度各会計定例監査(平成12年度執行分)報告書」を提出しました。

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監査の概要

  • この監査は、地方自治法第199条第1項及び第4項の規定に基づき、毎年度実施しているものです。
  • 今年度は、従来の財務監査を、定例監査と名称を変更して実施しました。
  • 名称を変更した趣旨は、都の事務・事業について、財務に関する事務の監査に限らず、部・事務所間における共通する問題点を抽出し、その制度や仕組みなどを全般的な観点からも捉えようとしたものです(行政監査の視点の付加)。
  • 定例監査の実施に当たっては、都が、排出事業者のひとりとして適正に廃棄物の処理を行っているかなどの「廃棄物の処理」を重点監査事項として設定しました。

監査の結果

全体事項

従来の財務監査に行政監査の視点を加えて実施したことにより、全体事項として、各局に共通する問題点を明らかにした。

  • 重点監査事項である廃棄物の処理について、29局中14局において不適正な事例が認められたことから、適切な対応を図るよう意見を付した。
  • 積算基準の印刷に当り10局が局ごとに印刷しているが、一括印刷することなどにより経費の節減を図るよう意見を付した。

局別事項

局別事項では、財産の管理が不適切であるもの、不経済支出であるものなど、80件を指摘した。指摘対象部所別に見ると、一件の指摘で複数部所を対象としたものがあることから、114部所に対して指摘した。

財産の管理が不適切であるなどの適法性の観点からの指摘は、全体の9割近くを占めている。これらの指摘は対象部所は異なっていても、繰り返し同様の誤った処理がなされている状況があり、各局においては、監査結果を踏まえ、適切に事務処理を行うよう一層の努力が必要である。

監査対象の概要

  監査対象箇所数 監査実施箇所数 実施率(%)
本庁 140部
(152)
140部
(152)
100
(100)
事業所 857所
(867)
372所
(304)
43.4
(35)
997
(1,020)
512
(456)
51.2
(44.7)

※( )内は、平成12年度の実績

監査結果の概要

全体事項

「重点監査事項」廃棄物の処理について

廃棄物の発生抑制、再利用、リサイクルを促進し循環型社会を実現するためには、都も廃棄物の排出事業者のひとりとして、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理する必要がある。

しかしながら、次のような事例が、29局中14局において認められた。

(1)廃棄物処分許可業者でない者と契約を締結しているものが4部16事業所
(2)産業廃棄物管理票に必要事項を記載していないものなどが3部6事業所
(3)特別管理産業廃棄物(感染性廃棄物)が、家族などが容易に立ち入ることができる場所に保管しているものが2事業所
(4)建設副産物のリサイクル計画書を作成していないものが3事業所

それぞれ見受けられた。

都は、環境行政を積極的に推進する立場でありながら、都自体が廃棄物の排出事業者としての責任を十分に果たしているとはいえない状況となっている。各局は、このような都の立場を十分に認識し、廃棄物の処理について、適切な対応を図られるよう努められたい。

積算基準の作成について

積算基準の作成・決定に当たり経費の節減及び事務の効率化を検討すべきもの

東京都工事施行規程によれば、設計は局長が定める積算基準に基づき行うものとされている。

積算基準について都市計画局ほか8局における作成方法について見ると、建設局が決定した積算基準をそのまま局の積算基準として採用し、表紙及び奥付のみを自局名に差し替えた印刷請負契約を建設局と同一の請負業者と特命による随意契約により締結している。

この積算基準の印刷請負契約のうち、共通編では、建設局が単価2,950円であるのに対し、単価3,480円~8,660円と、橋梁編では、建設局が単価1,250円であるのに対し、単価1,760円~6,600円と割高な金額で契約が締結されている。

しかし、建設局基準を用いるのであれば、積算基準の印刷に当たっては建設局による一括印刷方式、決定においては建設局基準を準用するなどの方法により、経費の節減及び事務の効率化を図ることが可能となるものと思われる。

都市計画局ほか8局は、積算基準の作成・決定に当って建設局との協議を行うなど経費の節減及び事務の効率化を検討されたい

積算基準

局別事項

(1)適法性の観点によるもの

固定資産税・都市計画税に係る土地の評価を適正に行うべきもの(主税局)

世田谷都税事務所では、固定資産税の評価額を算出するに当り路線価の選定を誤り、固定資産税・都市計画税が136万700円(平成9年度から平成12年度までの試算合計)課税不足となっている。

物品の受入れ等の手続を適正に行うべきもの(生活文化局、環境局、産業労働局、東京消防庁、水道局)

(2)経済性・効率性の観点によるもの

工事額の節減を図るべきもの(大学管理本部)

都立大学では、蓄電池交換工事を2件の契約に分割しているが、1件の工事として起工することにより、産業廃棄物運搬費、共通仮設費及び諸経費が節減となる事例が認められた。

情報提供誌の送付方法の改善を図るべきもの(生活文化局)

消費生活総合センターでは、「わたしは消費者」を同一の学校の校長及び消費者問題を担当する教員に別々に封入し郵送しているため、郵送料31万余円の支出が不経済となっている。

研修費用の受益者負担を図るべきもの(福祉局)

生活福祉部では、介護支援専門員を養成するため実務研修を実施しているが、資料代を除き受講者に費用負担を求めていない。この実務研修は個人が介護支援専門員としての資格を取得するために必要なものであることから受益者の負担とすべきである。

診療報酬請求額の確定に係るチェック体制の整備を図り、費用の算定を適正に指導すべきもの(衛生局)

荏原病院では、保険診療に用いられる医療用具・材料の費用の額の算定に当り、実際の購入価格で算定することとされているのを誤り、旧価格により算定したため診療報酬が請求漏れとなっている。この事例については、過去においても指摘してきたところである。

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