平成16年各会計定例監査(平成15年度執行分)報告書
監査委員は、本日の第三回都議会定例会に「平成16年各会計定例監査報告書」を提出しました。
監査の概要
平成15年度の財務に関する事務の執行や経営に係る事業の管理について、合規性、経済性、効率性、有効性の観点から監査しました。
本庁135部全てと、事業所370部所を対象に監査を行いました。
【監査実施状況】
区分 | 監査対象箇所数 | 監査実施箇所数 | 実施率 |
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本庁 | 135部 | 135部 | 100% |
事業所 | 812所 | 370所 | 45% |
計 | 947 | 505 | 53% |
監査の結果
今回の監査では、「収入未済金(未収金)」を重点監査事項に設定し、滞納となっている債権の回収が適切に行われているかなどについて検証しました。
指摘事項 | 55件 (うち重点監査事項13件) |
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意見・要望事項 | 4件 (うち重点監査事項 1件) |
主な監査結果(要約)
1 事業所税の課税を適正に行うべきもの
中央都税事務所では、地方税法に基づく課税標準の特例控除について、控除対象期間を把握していなかったことなどにより、その適用を誤り、結果として事業所税403万5,000円が課税不足となっている。
【指摘事項】 主税局 報告書本文 P.15
2 収入未済金について適正な手続きを行うとともに収入確保に努めるべきもの
都内において国が管理する河川の敷地については、河川法の規定により、国土交通大臣が占用許可を行うこととされ、都は、国土交通大臣が許可した占用に係る河川敷地占用料を徴収している。
しかしながら、平成16年3月31日時点で、納期限を経過しているにもかかわらず納付されていない占用料の収入未済金が、126件、3,832万4,501円あり、大部分は、督促状が発行されていなかった。また、占用料が複数年にわたり未済になっているにもかかわらず、国が占用許可を更新している事例が多数見られた。
河川部は、納期限を経過している未済金については、督促をするなど適正な手続きを行う一方、国へ情報提供するなど連携を図りつつ、占用料の収入確保に努められたい。
【指摘事項】 建設局 報告書本文 P.50
3 行政財産の使用許可に伴う使用料の算定等を適切に行い、収入の確保を図るべきもの
経理部が行っている行政財産の使用許可に伴う使用料の算定等について見たところ、次のとおり、適切でない事例が認められた。
(ア)日本ビル庁舎の一部を事務室等として使用許可するに当たり、使用料単価の適用を誤った結果、使用料584万7,756円が徴収不足となっている。
(イ)新河岸東処理場(右岸)用地の一部を駐車場用地として使用許可するに当たり、駐車場の区画として使用されている範囲から、通路部分等を除外しているが、当該通路部分は、駐車場として使用するために不可欠の部分であり、金網で囲われて駐車場として一体のものとして使用されていることから、使用許可の対象範囲に含めるべきものであり、使用料453万9,264円が徴収不足となっている。
(ウ)新河岸処理場用地の一部を駐車場用地として使用許可するに当たり、処理場を評価対象区画として算定した使用料単価によって使用料を算出しているが、当該用地は、処理場とは2車線の区道を挟んだ別個の区画の土地であることから、使用許可されている用地を評価対象区画として使用料単価を算定すると、使用料39万8,328円が増加する。
【指摘事項】 水道局 報告書本文 P.67
4 設備管理業務に係る委託契約を適正に行うべきもの
豊島病院では、電気、空調、給排水などの設備の日常・定期点検、保守等を行う設備管理業務委託契約を締結しているが、この契約のうち、コージェネレーション定期点検については、稼働時間が1,000時間毎のA点検、2,000時間毎のB点検、4,000時間毎のC点検を実施することになっている。
ところで、同院では、この契約とは別に、熱電併給設備(=コージェネレーション)点検整備委託契約を同一業者と締結している。この委託内容は、16,000時間点検であり、発電機用エンジンの部品交換を含むオーバーホール点検であるため、これに伴い、上記の定期点検は、6月にA点検、11月にC点検、3月にB点検を実施することとした。
しかしながら、(1)コージェネレーション定期点検のうち、11月に実施したC点検の点検項目の中には、その後すぐに実施したオーバーホール点検の項目と重複する項目が認められ、重複する点検項目にかかる経費376万4,250円が不経済支出となっている。(2)オーバーホール点検後、1,186時間経過したところで、B点検を行っているが、通常ならこの時点ではA点検を行えばよいため、過剰点検項目にかかる経費206万8,710円が不経済支出となっている。
【指摘事項】 病院経営本部 報告書本文 P.44
5 講習に係る授業料の受益者負担を適正なものとすべきもの
都立品川技術専門校ほか14校の都立技術専門校・分校で実施している能力向上訓練において徴収している授業料の上限額は、コース毎の一時限当たり平均原価に24時限を乗じ算出したものとなっているが、平成15年度実施の723講座のうち34講座については、実施時限数が24時限を超え、28時限から36時限で実施されていた。
授業料の上限額を講習一時限当たり平均原価の24時限分としているのは、局が策定した訓練ユニットシステム方式によるものであるが、これ自体は、訓練実施の展開方法を示したものに過ぎず、また、24時限以内で実施されている各コースの講習の授業料は、一時間当たりの平均単価に所定時限数を乗じて算出されていることから、部は、能力向上訓練の講習について、実施時限数に見合った授業料を設定し、受益者負担を適正なものとされたい。
【指摘事項】 産業労働局 報告書本文 P.47
6 育英資金返還金の滞納額の減少及び発生の抑止に努めるべきもの
私学部では、昭和29年度より育英資金貸付事業を行っているが、返還金の滞納額は、平成15年度末では依然として7億円を超える状況となっている。
滞納金については、借受者が奨学金の返還を遅滞した場合に正当の理由がないと認められるときは、違約金を徴収する旨が定められているが、違約金の取扱いを見ると、借受者が弁済能力の限りに返還しているとみなし、これまで違約金の徴収は行っていないことが認められた。
なお、返還が遅滞した場合における正当な理由の有無を認定するための基準については、明確化されていない。
育英資金の返還金は、貸付事業を継続していく上で、実質的に新たな奨学金貸付の原資であると位置づけられるものであり、借受者間における公平性を確保するとともに返還意識を一層高め、滞納発生の抑止を図る必要がある。
部は、育英資金返還金の滞納額の減少に向け、より一層努力するとともに、滞納の発生を抑止するため違約金徴収のしくみについて見直しを検討されたい。
【意見・要望事項】 生活文化局 報告書本文 P.23
7 災害対策住宅における管理職員用住宅の運用方法について検討すべきもの
総務部は、夜間・休日等に発生する災害等の初動期における災害対策要員を確保するために、上高田災害対策住宅(12戸)を設置しているが、そのうち6戸の運用は、指定管理職員6名が2名3班体制により一週間交替で待機することとされているため、4戸は空室となっており、有効に利用されていない。
【意見・要望事項】 水道局 報告書本文 P.65