平成17年各会計定例監査(平成16年度執行分)報告書
監査委員は、本日の第三回都議会定例会に「平成17年各会計定例監査報告書」を提出しました。
本庁131部、事業所368所を対象に監査を行い、62件の指摘等(「指摘」54件、「意見・要望」8件)を行いました。
監査の概要
平成16年度の財務に関する事務の執行や経営に係る事業の管理について、合規性、経済性、効率性、有効性の観点から監査しました。
本庁131部全てと、事業所368部所を対象に監査を行いました。
【監査実施状況】
区分 | 監査対象箇所数 | 監査実施箇所数 | 実施率 |
---|---|---|---|
本庁 | 131部 | 131部 | 100% |
事業所 | 788所 | 368所 | 47% |
計 | 919 | 499 | 54% |
監査の結果
監査を効率的、効果的に実施するために、局ごとに「重点監査事業(事項)」を設定【報告書の7頁参照】し、11事業(事項)について指摘等を行いました。
(この11事業の指摘等は、上記の指摘等62件の内数です。
指摘事項 | 54件(うち重点監査事項 6件) |
意見・要望事項 | 8件(うち重点監査事項 5件) |
主な事例(要旨)
1 パソコン教室について
ア 保守料金の積算を適正に行うべきもの
学務部では、パソコン教室の集団学習装置の保守料金について、これをリース料金とは別に積算すべきところ、リース料金に含めて積算している結果、1教室当たり約83万円が過大積算となっている。[合規性]
イ 集団学習装置の更新を適切に行うべきもの
集団学習装置の機器等のうち、机・プリンター台・椅子・フリーアクセスフロアは、リース期間終了後も継続して利用できるにもかかわらず、学務部は、集団学習装置の更新に当たり、これらについても撤去・新設を行っている。
その結果、購入により更新した学校では1教室当たり約485万円、リースにより更新した学校では1教室当たり約620万円が不経済支出となっている。[経済性]
【指摘事項】 教育庁 報告書本文 P.60
2 使用されていないエスカレータの取扱について見直しを行うべきもの
エスカレータの保守には、建築基準法に基づき、年1回必ず行わなければならない点検と、1か月及び3か月ごとに機能を良好に保つために行う点検とがある。
ところで、議会棟にあるエスカレータ2台については、平成5年度に省エネルギー対策として稼働を停止して以来、現在まで一度しか稼働していない。
しかしながら、建築保全部では、年1回の法定点検のほかに、1か月及び3か月ごとに点検を行うなど、通年稼働のエスカレータと同様の保守業務を行っている。[経済性]
【指摘事項】 <局別重点監査事業(事項)> 財務局 報告書本文 P.12
3 土地の用途に応じ課税を適正に行うべきもの
高架道路下の土地については、その土地を道路以外の用途に供している場合は、固定資産税・都市計画税を課税することとされているが、江東都税事務所では、月極駐車場として使用されている高架道路下の土地に係る両税を、誤って非課税としている。
その結果、約214万円が課税漏れとなっている。[合規性]
【指摘事項】 主税局 報告書本文 P.15
4 診療報酬の請求を適切に行うべきもの
各病院における診療報酬の請求等に係る事務処理を見たところ、次のとおり、是正・改善を要する事例が見受けられた。
ア 駒込病院、神経病院、八王子小児病院及び梅ケ丘病院では、カルテの病名等に記載不備があるため、診療報酬を請求していないものがあった。(4病院で約743万円)
イ 府中病院及び清瀬小児病院では、社会保険診療報酬支払基金等から返戻されたレセプトの不備を補正せず、長期間にわたり未請求になっているものがあった。(2病院で約1,602万円)
ウ 駒込病院、清瀬小児病院及び梅ケ丘病院では、審査機関で減額査定された診療報酬について、再審査請求することが保険診療委員会で決定されているにもかかわらず、長期間にわたり再審査請求をしていないものがあった。[合規性]
【指摘事項】 病院経営本部 報告書本文 P.29
5 有償刊行物の在庫管理を適切に行うべきもの
広報広聴部では、都の各局が編集発行した都政刊行物のうち、特に需要の多いものを増刷して販売しており、毎月、棚卸しを実施し、現物数を把握している。
ところで、この有償刊行物について、販売管理システムで管理している在庫数と棚卸しによる現物数とを照合したところ、差異が生じていた。これは、部が管理在庫数と現物数との照合を行っていなかったためである。
部は、管理在庫数を基本として棚卸しを行い、管理在庫数と現物数とを照合して、販売管理システムを有効に機能させる必要がある。[有効性]
【指摘事項】 <重点監査事業(事項)> 生活文化局 報告書本文 P.20
6 メータクロスの発生状況などの情報を的確に把握し、効果的な防止策を講じるべきもの
集合住宅など、同一箇所に複数の給水管がある場合等において、メータ取付け時に、メータを取り違えて取り付けるメータクロスが発生すると、利用者の信頼を損なうばかりでなく、営業所では、料金差額の徴収及び還付に係る利用者との調整に多大な人員及び時間を要するなど、多くの問題が生じる。
しかしながら、水道局では、営業所から、メータ引換工事等を所管する支所に、メータクロスの発生状況を伝達する仕組みがなく、そのため、発生状況を踏まえた業者への指導など、具体的な防止策をとることができない。[有効性]
【指摘事項】 水道局 報告書本文 P.55
7 船客待合所における適切な清掃委託について検討すべきもの
大島支庁では、元町港及び岡田港の船客待合所の清掃を、業務委託により実施しており、トイレは2港とも毎日、窓ガラスは2港とも月1回、待合所は、元町港が毎日(365日)、岡田港が隔日(214日)で清掃を行っている。
ところで、大島支庁では、①平成16年度における船の就航状況は、在来船、高速ジェット船とも、岡田港の方が元町港より多い、②来島者は、平成6年度に対し、平成16年度は17万9,250人(40.2%)減少している、という状況変化があるにもかかわらず、平成6年度以降、十年余にわたり清掃委託の見直しを行っていない。[有効性]
【意見・要望事項】 総務局 報告書本文 P.11
8 未処分地の有効活用を検討すべきもの
東京港防災事務所が、来客者用駐車場として使用している土地(1,225㎡)は、事務所に隣接しているため、国への一時貸付が終了した平成6年度以降、駐車場としている。
しかしながら、この土地は、臨海開発部所管の売却等予定地(未処分地)であり、同事務所敷地内には、既に来客者用の駐車スペースが十分確保されているため、未処分地を使用する必要性は認められない。
この未処分地は、最寄り駅から徒歩5分の好立地にあることから、有効活用することが望ましい。[効率性]
【意見・要望事項】 <重点監査事業(事項)> 港湾局 報告書本文 P.46