平成19年各会計定例監査(平成18年度執行分)報告書

監査委員は、本日の第三回都議会定例会に「平成19年各会計定例監査報告書」を提出しました。

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監査の概要

平成18年度の財務に関する事務の執行や経営に係る事業の管理について、合規性、経済性、効率性、有効性の観点から監査しました。

本庁133部全てと、事業所325所を対象に監査を行いました

【監査実施状況】

区分 監査対象箇所数 監査実施箇所数 実施率
本庁
133部
133部
100%
事業所
795所
325所
41%
928
458
50%

監査の結果

監査の結果、87件の指摘等を行いました。

【重点監査事業(事項)について】

1 重点監査事項「リース契約について」
情報システムや業務用機器等の調達手段として、リース取引が増加しているため、今年の定例監査においては、適切にリース契約が行われているか、合規性の観点はもとより、経済性、効率性及び有効性の観点から、重点的に監査を実施しました。
その結果、18件、約3億3,647万円の指摘等(※)を行いました。
※87件の指摘等の内数です。

主な事例(要旨)

1 リース契約に係る積算を適切に行うべきもの<重点監査事項)>

局におけるリース契約の積算内訳について見たところ、次のとおり不適切な事例が認められた。
ア 自動車の借入ほか2件の契約では、積算根拠が月額リース料の参考見積もりのみとなっており、リース物件価格等に基づき妥当かどうかの検証がされていない。
イ 電子調達システムサーバ機器等の借入ほか2件の契約では、保守料の算出に当たり、保守対象物件価格に設置費用等を含めた額に保守料率を乗じているため、リース期間全体で約799万円が過大となっている。[合規性]
【指摘事項】 財務局報告書本文 P.18

2 2以上の地目に利用されている一筆の土地の評価及び課税を適正に行うべきもの

固定資産税における土地の評価は、一筆の土地が2以上の地目に利用されている土地については、それぞれの地目ごとの土地を単位として評価するものとしている(東京都固定資産(土地)評価事務取扱要綱)。
ところで、北都税事務所管内に所在する一筆の土地について見たところ、墓地(非課税)及び住宅の用に供している宅地の2つの地目から構成されているにもかかわらず、評価に当たり、墓地を含めた一筆の土地全体を対象にして奥行価格補正を行ったため、評価額が減額されている。[合規性]
(注)奥行価格補正とは、宅地の奥行の長短に応じて評価額を補正すること。
【指摘事項】 主税局報告書本文 P.21

3 躯体の健全性に基づきスーパーリフォーム事業の対象団地を定めるべきもの

局は、約26万戸の都営住宅を対象として、都営住宅等ストック総合活用計画を策定し、公営住宅の耐用年数である70年間利用できるよう、スーパーリフォーム事業(鉄筋コンクリートの躯体を残し、内装・建物付属設備を撤去・新設する。)を実施している。
このスーパーリフォーム事業の対象選定について見ると、躯体の健全性を検証し、躯体が将来にわたって利用できる場合に、事業の対象としていくべきであるが、実測したコンクリート強度及び設計図に基づく構造計算を行っておらず、建物の健全性を把握せずにスーパーリフォーム事業の対象を定めている。
耐震診断を速やかに実施し、建物の躯体の健全性を十分判断したうえで、スーパーリフォーム事業の対象とすべきである。[有効性]
【指摘事項】 都市整備局報告書本文 P.30

4 経営的視点から建替計画を定めるべきもの

局は、都営住宅の建替事業の実施に伴い、建物を高層化して土地の利用効率を向上させているが、建て替えの結果生じた余剰地の活用方法を検討していないため、平成18年4月1日現在、112か所、約56.3haが未利用となっている。
また、建替計画の策定に当たり、建築費や住宅使用料などの直接収支のみを試算しており、余剰地活用による収入などの余剰地の創出と活用に係る収支や、旧建物の除却損などの建て替えに付随する費用を検討していない。[効率性]
【指摘事項】 都市整備局報告書本文 P.31

5 診療報酬に係る債権を速やかに把握し、適切な請求等を行うべきもの

平成17年度に旧多摩老人医療センターの運営が財団法人に移管されたことに伴い、局は平成16年度末までに発生した診療報酬明細書(レセプト)の請求事務及び社会保険診療報酬支払基金等からの支払金の歳入事務を行っている。
このレセプトに係る請求及び歳入事務についてみたところ、次のような不適切な事例が認められた。
ア 移管時に継承すべき未請求レセプトに係る債権額の全てを確定させないまま引き継いだため、未請求レセプトの請求状況が確認できない。
イ 査定減されたレセプトについて、平成17年6月以降は再審査請求を行っていないが、そのための必要な意思決定がなされていない。[合規性]
【指摘事項】 福祉保健局報告書本文 P.43

6 身体障害者更生施設の利用率を向上させ、待機解消を図るべきもの

心身障害者福祉センターは、身体の不自由な者に対して、入所によるリハビリテーションを提供する更生施設(定員50名)を設置している。
ところで、当該施設の入所状況について見たところ、平成18年度の平均利用者数が27.1人に止まっている一方、待機者は12.1人となっている。
センターは合理的な理由なく入所希望者を待機させており、施設が十分に活用されていない。また、部はこの状況を把握しておらず、センターを指導していないのは適切ではない。[有効性]
【指摘事項】 福祉保健局報告書本文 P.49

7 物品の耐用年数を考慮してリース契約を行うべきもの<重点監査事項)>

局は、業務用のコンピュータ装置等のリース契約を締結しており、更新時には新たな契約により、全ての機器等を新規調達している。
しかしながら、更新前のリース契約に含まれていたOAデスク、ラック等の什器類は更新時においても耐用年数を十分残していたことから、新規調達するコンピュータ装置類と分離して再リースにより調達していれば、リース期間全体で約448万円の削減が可能であったと見込まれる。[経済性]
【指摘事項】 産業労働局報告書本文 P.57

8 島しょ事業所における運営経費の支払方法を改めるべきもの

島しょ農林水産総合センターは、島しょに所在する大島事業所及び八丈事業所を所管している。
ところで、各事業所の経費の支払状況を見たところ、大島事業所では年間約2,462万円、八丈事業所では年間約2,766万円を前渡金として現金で受領し、支払に当てていたが、その主な使途である船舶燃料費や建物管理委託関係費等は、契約による口座振替払いが可能なものである。
公金の適切かつ安全な管理の観点からも、経費の支払方法についてはできる限り現金によらないことが望ましい。 [合規性]
【指摘事項】 産業労働局報告書本文 P.58

9 庁舎清掃委託に係る面積の積算を適正に行うべきもの

食肉市場における建物清掃委託契約について見たところ、仕様書上の清掃面積が、什器等により清掃できない部分を控除していなかったため、過大に計上されていた。 [合規性]
【指摘事項】 中央卸売市場報告書本文 P.61

10 電子計算機システム賃貸借に係る契約を適切に行うべきもの

局は、水運用センター電子計算機システムのレンタル契約を行っている。
しかし、契約内容を見ると、本件契約は実質的にリース契約であり、かつ更新期間を経過した機器を継続使用している。
リース契約であれば再リース契約が可能であり、再リース料が一般的な再リース料相当額とすると、約2億4千万円の削減が可能であったと見込まれる。[経済性]
【指摘事項】 水道局報告書本文 P.79

11 漏水に伴う修理工事を経済的な方法で行うべきもの

局は、漏水が発生したときに緊急に修理するため、水道緊急工事請負単価契約を締結している。
この契約は、緊急性を考慮して労務費を割り増して積算していることから、代表的な工種について標準積算単価を用いている材質改善工事と比較すると、平均して69%割高になっている。
しかしながら、南部第二支所においては、漏水量が極めて少なく、発見から1ヵ月後に修理している工事や、一度応急修理した給水管を後日材質改善する工事についても緊急工事として割高な単価による工事を行っていた。[経済性]
【指摘事項】 水道局報告書本文 P.87

12 都立高校の施設維持管理事務に係る委託契約を適切に行うべきもの

庁は、都立学校250施設の維持管理事務を、東京都住宅供給公社を委託先として特命随意契約を締結している。
しかしながら、当該委託業務は、都立学校の維持管理に関する業務のうち、施設の修繕業務及び設備の保守点検業務等であることから、庁が業務内容を明示するなど仕様書を適切に作成すること、また、契約を分割することなどによって他の事業者による履行も可能であり、契約における競争性の確保を図ることができるものである。[経済性]
【指摘事項】 教育庁報告書本文 P.98 

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