平成21会計定例監査(平成20年度執行分)報告書
監査委員は、第三回都議会定例会に「平成21年各会計定例監査報告書」を提出しました。
監査の概要
平成20年度の財務に関する事務の執行や経営に係る事業の管理について、合規性、経済性、効率性、有効性の観点から監査しました。
本庁137部全てと、事業所347所を対象に監査を行いました
【監査実施状況】
区分 | 監査対象箇所数 | 監査実施箇所数 | 実施率 |
---|---|---|---|
本庁 | 137部 | 137部 | 100% |
事業所 | 781所 | 347所 | 44% |
計 | 918 | 484 | 53% |
監査の結果
監査の結果、112件の指摘等を行いました。
【重点監査事業(事項)について】
1 重点監査事項
「消耗品等の購入契約」を重点監査事項として、全局を対象に重点的に監査を行いました。監査に当たっては、物品納入業者に対する関係人調査を行いました。監査の結果、不適正な事務処理を行っていた13件の契約について指摘を行いました。
2 財務諸表監査
平成20年度東京都財務諸表が、東京都会計基準に準拠しているかを検証することを目的として実施した結果、監査の対象とした財務諸表については、東京都会計基準に概ね準拠して作成されていると認められました。
主な事例(要旨)
1 不適正な契約手続きに対する厳密な防止策を構築すべきもの<重点監査事項>
局の物品購入契約について、以下のような不適正な事例が見受けられた。
ア 農林水産部では、事業者に物品を納入させた後に契約関係の書類を作成し、一括して代金を支払っていた。
イ 雇用就業部では、事業者に物品を納入させた後に契約関係の書類を作成し、一括して代金を支払っていた。
【指摘事項】 産業労働局報告書本文 p.71
2 未収金の収納に向けて適正な事務処理を行うべきもの
経理部では、水道メーター買入れ契約に係る損害賠償金について、東京簡易裁判所による調停成立に伴い、Tに対して、損害賠償金(316万4,700円)の調定を行い、支払いは36回の分割払いとした。
この損害賠償金の納入状況について見たところ、監査日(平成21.2.18)現在、21回目(納期限:平成20.3.31)から未納状態(残金:141万3,264円)が続いていることが認められた。
調停調書の条項によれば、「分割金の支払を2回以上怠ったときは、申立人は当然に期限の利益を失い、債務金額の残金に遅延損害金を附加して支払う。」こととなっており、期限の到来した残金の回収について、督促等を行っていないのは適正ではない。
【指摘事項】 水道局報告書本文 p.121
3 パソコン機器の再リース契約を適切に行うべきもの
総務部では、業務用パソコン機器について、平成20年度に6ヶ月間の再リース契約(特命随意契約)を締結している。
再リース契約金額のうち、保守料について見たところ、当初リース契約の保守料の10倍以上の額となっていることが認められた。
総務局の「IT経費適正化マニュアル」(下水道局も準用している。)によれば、パソコン再リースの保守料の積算については、当初リース時から5年間は同額程度であることを原則としており、当初のリース契約期間が3~4年であった契約の再リースにおいて、保守料が10倍以上となっていることは適切でない。
【指摘事項】 下水道局報告書本文 p.136
4 商業高校ネットワークシステムを効率的に構築すべきもの
都立学校教育部は、商業教育用ソフトウェアを商業高等学校9校で共有することを目的として、商業高校ネットワークシステムを平成20年5月に整備している。
本来、共有すべき商業教育用ソフトウェアを選定した上で、ネットワークを整備する必要があるが、部は、監査日(平成21.6.12)現在、ソフトウェアを決定しておらず、共有を行っていない。
この結果、ネットワークのうちソフトウェアの共有に要する費用について試算すると、平成20年度においては年間約952万円が、また、平成21年度においては1月当たり約67万円が、それぞれ不経済支出となっていた。
【指摘事項】 教育庁報告書本文 p.161
5 単価契約工事等にかかる見積合わせについて経済性の高い方法を検討すべきもの
都市整備局、建設局及び港湾局では、一部の単価契約において工種別の使用頻度を考慮することなく、全ての工種の単価の単純合計額で見積合せを行っている。
しかしながら、より経済性の高い契約を締結するためには、関係局において連携の上、使用頻度を考慮した見積合わせの方法を検討する必要がある。
【意見・要望事項】 都市整備局報告書本文 p.42 建設局報告書本文 p.95 港湾局報告書本文 p.102